【住みたい街とよかわ ―人口社会増の背景―②】得難い豊かな自然 萩町が示す新たな布石
2026/09/20

萩町神田の住宅分譲予定地。左後方が萩小学校(イトコー提供)
旧宝飯郡音羽地区で、山に囲まれた豊川市の萩町。3月時点の人口は1247人で、小学校区別では市内最少。少子高齢化も著しく、萩小学校は校区外からも児童を受け入れる小規模特認校となっている。町にはコンビニエンスストアはなく、最寄りの名電赤坂駅までは町の中心から2キロ以上の距離がある。意外にもこの萩町が、人口増加の新たな布石となるかもしれない。
昨年、市内の工務店イトコーが萩町神田の市営萩住宅跡地を市から購入。5836平方メートルの敷地を15区画に分けた住宅分譲地「こくらす はぎのもり」の開発を始めている。木造2階建ての住宅が15戸並び、2029年12月の分譲完了を目指す。萩小学校から北に約150メートルの近距離にあり、子育て世帯に最適だ。
同社は6月、この分譲予定地でイベントを開催した。青い空と緑の山々を背に音楽がリズムを刻む中、キッチンカーやテントなどの店舗が並び、約500人が来場した。町内外の人々の交流を図るだけでなく、目的はもう一つあった。来場者の声を聞くことだ。
「土地探しではとかく利便性が重視される。でも、本当に不便な土地は敬遠されるのか。街中では得難い豊かな自然の中で暮らしたい、子どもを育てたいというご家庭も多くいるのではないか」。同社のそんな思惑通り、アンケートに回答した30~40代の72人のうち、実に83%が「住みたい」と回答したのだ。
50代以上では「住みたくない」との回答の割合が拮抗したことからも、子育て世代に受け入れられたことが分かる。住みたいと回答した人からは「環境が良い」「子育てに良さそう」「ゆったりと暮らせそう」といった意見が聞かれた。
住みたくない理由には「すでに持ち家がある」といったライフステージに起因する要素が占め、交通の利便性や職場からの距離を理由に挙げた人は一部にとどまったという。同社は「子育て世代は利便性だけでなく、自然環境や暮らしの質を重視する価値観が支持されている可能性が示された」と受け止めている。
(つづく)