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【第20回】真田光彦・豊川信用金庫理事長
2026/10/19

真田光彦理事長(69)は、豊川市に本店を置く豊川信用金庫を率いて5年目を迎えた。同金庫は2027年に設立90周年を迎える。
豊橋や岡崎といった都市部と、新城・北設楽など山間部(奥三河)の中間に位置する豊川に本店を置く強みを、真田は経営の軸に据える。製造業と農業がバランス良く根付く土地柄に加え、都市部と山間部を結ぶ結節点だからこそ果たせる役割があるとして、地域に根差した新商品やデジタル対応を次々と打ち出し、存在感を高めてきた。
その一例が地域商社だ。設立して4年目を迎え、人口減少が進む奥三河の魅力を掘り起こして域外に発信し、来訪や購入による消費を呼び込むことで、疲弊しつつある山間部の活性化を後押しする狙いがある。経営は当初の計画通り、順調に推移しているという。
真田は、人口減少や地域経済の地盤沈下、環境問題への対応を信用金庫が担う社会的な責務、後継者不在に悩む経営者への支援や地域経済の活性化を経済的な責務と位置づける。その一環として、奥三河を含む山間部地域の森林が持つ二酸化炭素(CO2)吸収量をクレジット化し、削減活動に手が回らない都市部の製造業がオフセット(相殺)として購入できる仕組みを組み込んだ「Jクレジット定期預金」を、このほど売り出した。
事業承継やM&A(企業の合併・買収)の相談への対応にも力を入れる。3年前に専門部署の事業支援部を新設し、現在は7人体制で各支店から寄せられる相談を一手に引き受ける。後継者難による小規模事業者の廃業相談から、M&Aによる譲渡先探しまで内容は幅広く、相談件数は年々増加しているという。真田は、数字だけを追って短期間で仲介を終える大手M&Aコンサルタントのやり方と一線を画し、地域に根差した関係の中で誠実に向き合う姿勢を強調する。事業者との関わりを一過性で終わらせず、事業が続く限り資金ニーズに寄り添うことで、金庫の収益の継続性、ひいては資本力の強化につながるとみている。
デジタル対応にも布石を打つ。稼働から約1年となるインターネット支店は、法的な営業エリアの制約を受けない預金業務の性質を生かし、全国から集めた資金を東三河の事業者への融資に振り向ける仕組みだ。さらに8月には、独自のスマートフォンアプリ「かわしんアプリ」を導入した。顔認証によるログインや、通帳を発行しない通帳レスへの切り替え、振り込みなどが一つの画面で完結する。今後は法人向けアプリの開発も視野に入れる。単純な手続きはデジタルで効率化する一方、事業承継など踏み込んだ相談には予約制の対面で丁寧に対応するという。「時代の急速な変化に合わせて自らが変わっていかなければ、この先生き残ることはできない」と語る。
理事長としての使命について、真田氏は「より強固な経営体力と、より強い顧客との信頼関係を持って、次の世代に確実につないでいくこと」だと言い切る。27年に迎える90周年に向けて、経営基盤を着実に積み上げる時期だとみている。
※次回は26日付掲載予定。