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多品種・多分野でリスク回避

【TOPインタビュー㊦】歯車を軸に 100年企業目指す/「品質、デリバリー、ひと」が重要/来春 新工場が完成/永田鉄工/林臣充社長

2018/08/02

林臣充社長

 ―次世代燃料電池自動車の歯車部品も手がけているが、ロボットと比べて精度はどちらが高いのか

 ケタ違いで次世代自動車。話をもらった当初は「そんなの出来る訳がない」という高いレベルの要求だった。歯車の歯面のデータが、公差(誤差)0・4ミクロン(1万分の4ミリ以内)。四苦八苦しながら、社内でやり遂げたという実績は、今ではいろいろな面で大きな糧(かて)になっている。

 ―今後も超精密歯車の分野は増えていくと思うが
 産業用ロボットや自動車関連など、超精密歯車のニーズはさらに高くなっていくだろう。しかし今後さらに増えてきたら、その分野に依存しないように少し距離をとることも必要だと考えている。

 理想としては、最先端の業界をいち早くキャッチして、共同研究・開発して試作段階の時も一緒に走っていくが、ある程度の段階まで進み、あとは量産となった段階で、少し距離感を持ちたいと考えている。数が多くなってくると、価格面など顧客の要求が厳しくなる。ある分野だけ、1社だけに依存することも、会社の基盤をくつがえす状況にもなりかねないので避けたい。

 ―一番大きい取引先の売上比率は
 多くても20%程度。今後は売上比率の高い取引先の受注を増やすのではなく、今後伸びると予想できそうな取引先や、新規顧客の比率を高くしていきたい。

 現在、取引先は月平均で50~60社、業界で言うと10数業界。これまでに取引があった企業数は150~160社にものぼる。既存顧客の中でも大手企業になるとさまざまな分野に参入するので、常にアンテナを張って新たなニーズを拾っていきたいと考えている。

 ―既存顧客との関係性ができているように感じるが
 当社はすべて受注生産。図面1枚で生産を請け負うのが基本的なスタイルである。最近の傾向としては、製品の形状を決めるために開発段階で技術者から、歯車や歯面の細かなサイズや加工の仕方を相談されることも多い。当社だからできる技術があるからこそだと自負している。

 顧客と良い関係性を保つために必要だと考えているのは「品質とデリバリー」。前任者も言っていたことだが、「良い品質の製品を1日でも早く提供すれば必ず顧客はついてくる」というのが根底にあり、常に緊張感を忘れずに対応している。

 ―企業の成長戦略として規模を追うことは考えているか
 現在の本社工場ですべてまかないたいし、ほかに拠点を出すことは考えていない。来年には新工場も稼働するが、売り上げ的にはマックスに近い状態なので、今の規模を維持しつつ、中身の充実を図っていきたい。

 ―中身の充実とは
 人財(ざい)と設備、治工具がそろえばいいものができる。高品質な製品を作り続けるためにはそれが必要不可欠である。当社がこれまで高品質にこだわり提供し続けてこられたのは、当社が長年培ったノウハウと、技術者が試行錯誤し、治工具といった付帯設備を最適にセッティングしたから可能にしたというものである。

 常に最新設備を完備することと、いいものを作るためにはそこで働く人財も重要。しばらく繁忙期が続いているためなかなかできないが、過去には社員研修なども行っていた。現在、社員の平均年齢は33・7歳だが、世代も変わり若い社員にもステップアップしてもらいたいと願っているので、今後は人財育成にも力を注いでいきたい。

 ―新工場について
 当社の主力部門であり心臓部とも言える歯車研削盤専用工場を作る。今よりも温度管理が可能で、精密な部品を加工できるよう空調設備も整え、新しいレイアウトで生産性も向上できるだろう。本工事は11月ごろ、来年春の完成を目指している。

 ―最後に、今後の展開について
 日々、世の中の状況は変わるので、フレキシブルに対応するためにも、とくに1年の方針などは決めていない。10年スパンぐらいの長期的な展望を持ちながら、地道に、堅実に、100年企業を目指していきたい。

国内最大保有数を誇るスイス・ライスハウァー社製の研削盤が並ぶ工場

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