桜の季節 

歴史に「刻」まれた

第4章 56回

2020/04/05

桜丘の良さが凝縮された勝利だった

 2017年・7月。福島県福島市で開催されたインターハイ2回戦の北陸戦は、桜丘歴代上位に名を連ねる名勝負だった。開幕前には、練習で仮想・北陸として桜丘OBの中尾良平を二上耀に見立て、入念にチームを仕上げていた印象が強い。あの頃は、富永啓生もまだ高校生の枠を超えない時期(それでも、3点シュート7本を含む41得点は驚異的な数字)だったこともあり、試合を組み立てる大井崇幹とジャイニャ・クル頼みだった。5点のリードで折り返したが後半に追いつかれ、どちらが勝つのか一進一退の攻防が最後まで続いていた。

 桜丘は、北陸戦を想定したゾーンディフェンスが機能。相手のミスを誘ってジワジワ点差を広げ、83―71で優勝候補の一角を見事撃破した。

 その後、激闘の反動もあり3回戦では飛龍に完敗。苦い記憶とともに、北陸戦は印象深い試合として残っている。

 この大会では、試合に出場したメンバー以外にも3年生みんなで巨大メガホン「ギガホン」を手作り。応援席から一生懸命に味方を鼓舞した。

 豊橋から福島まで、片道で約400キロの道程を保護者がマイクロバスを運転して選手たちを送り届けた。みんながそれぞれ役割を全うしたからこそ、ひとつのチームとして成し得た最高の勝利だった。

 当時の紙面を少し懐かしく見返すと、選手たちの笑顔が溢れて「この1勝はすべての桜丘関係者にとって価値ある勝利」と締めくくられている。

 その前年度が逆境と忍耐のシーズンで、全国大会出場を逃して、誇るべき勲章が何もないことを考えると、改めて選手の急成長に驚かされる。

そんな瞬間に、立ち会える日はまた訪れるだろうか。

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