乗車数3月以降着実に増

検証・高速乗合バス「山の湊号」/停留所増設など奏功/遠い採算ベース確保など課題も

2017/09/13

 新東名高速道路を往復する新城・名古屋藤が丘線高速乗合バス「山の湊号」は、昨年7月の運行開始から1年あまりが経過。9月市議会一般質問では、加藤芳夫議員が1年間の課題や今後の方策について質問した。一部の市民からは反対の声も上がっているが、ラッピングを施した「山の湊号」は広告塔としての役割を担い平日3便(土日祝2便)を運行。ダイヤ改正や停留所増設なども奏功し、成果が少しずつ表れ始めている。

 新東名を往来する山の湊号は、奥三河地域と名古屋圏を約90分でつなぐ市民の「足」として活躍している。交通手段以外にもPR効果が期待され、同地域の交流人口の拡大に向けて、阿寺の七滝や四谷千枚田、長篠設楽原の戦いなど観光地のラッピングで都市圏を走行し、認知度を高めている。

 その効果は、上り(長久手→新城)の乗車数にも表れ、開始当初の月間上り乗車数が300人未満だったのに対し、今年3月以降は順調に増加。特に、5月は522人、6月が452人、7月は522人、8月は584人と増えている。

 高速バス事業の運行期間は4年間。初年度事業費はバス購入費(約3800万円)を含む約6000万円で、豊鉄バスへの運行委託料(約2200万円)の半分は地方創生推進交付金などを財源としている。

 運行開始後1週間は、1人1回1往復無料(通常は片道大人1000円)のお試し乗車券を配布。各便とも予約でほぼ満席となったが、その後は乗客数が徐々に減少し、維持費や採算性、費用対効果を疑問視する市議からは「誰が何の目的で利用するのか」「将来不安が増す無計画事業」など、批判の声も挙がっていた。

 同市では、利用客増加に向けて今年1月から、豊鉄バス各営業所などで4枚綴り3000円の回数券を販売開始した。3月には、地元縁の武将(織田信長や徳川家康、鳥居強右衛門)を描いた45人乗り新車両を導入。さらに、7月1日から市内2カ所(新城市民病院、道の駅もっくる新城付近)に新停留所を増設し、乗降客用の駐車場スペースを確保した。また、コンビニでも乗車券の予約・発券が可能となった。

 この結果、昨年末3・8人だった平均乗車人員は、今年3月から6・3人に増加(月別乗車人数は往復で1000人以上)、8月は7・2人(同1217人)と徐々に増え始めている。

 ただ、採算ベースの確保には遠く、課題も残されている。運行経費は年間4600万円弱かかり、黒字を出すには1便24人の乗車が必要となる。

 一般質問で、竹下喜英総務部長は「地元の観光地や宿泊施設、民間団体との連携プランを提案し、イベントの開催などを通じて名古屋圏の人々を受け入れるためのPRを継続的に行っていきたい」と述べ、高速バスの活用による地域活性化を見据えた。

2017/09/13 のニュース

新城市PRラッピングが施された高速バス「山の湊号」

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