牛川の渡しが復活

豊橋/記録的大雨での廃船から9カ月ぶり/観光需要掘り起こし期待/3代目「ちぎり丸」―2代目の部品一部再利用

2024/03/04

新造された3代目「ちぎり丸」(豊橋市の豊川で)

 昨年6月の記録的大雨の影響で流され廃船になって以降、運休していた豊橋市内の豊川(とよがわ)を渡る市営の渡舟「牛川の渡し」が3日、運航を再開した。近年は住民の生活の足としての用途だけでなく観光客の人気を集めていて、9カ月ぶりの復活に観光需要の掘り起こしが期待される。

 新たに建造された3代目「ちぎり丸」は、これまでと同じく船頭を含め11人乗り。「2代目の面影を残そう」(市の担当者)と、座席の土台や手すりを再利用した。

 川が増水しても無事なように、係留する杭(くい)を1㍍高くするなど対策を施した。

 牛川町側の渡し場であった就航式で、浅井由崇市長は「皆さんに愛され、末永く使ってほしい」と述べた。この日を待ちわびた人たちが、真新しくなった船にさっそく乗り込み、対岸の大村町側まで約70㍍の区間で、船頭の竿(さお)さばきに伝統を感じながら乗り心地を楽しんだ。

 牛川の渡しの起源は、一説には平安時代までさかのぼるとされる。1932年から市営で運航し、牛川町と大村町を結ぶ市道の一部に位置付けられている。無料で乗船でき、通学客などが利用している。

 そうした普段使いよりも、市によると今では観光客の方が多いほど。人力で川の両岸を往復する渡船は全国的にも珍しく、観光資源になっている。2022年度は乗船者数が11年ぶりに1万人を上回った。船頭の荒津圭伺さん(68)は「2万人、3万人に来てもらえる渡し船になりたい」と語った。

 市によれば水深が浅く、距離も近いため動力船は採用しないのだという。

 先代のちぎり丸は昨年6月2日から3日にかけての台風2号に伴う豪雨で、係留してあった渡し場から流され行方不明になった。4日に遠く離れた三河湾沿岸の田原市宇津江町の海岸に打ち上げられているのが見つかったが、船底に大きな穴が開くなど激しく損傷していた。市は修復を断念し新たな船を建造した。

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