巨木の記憶を引き継ぐ

設楽ダム建設で「添沢のヌマスギ」伐採/挿し木で2代目を育苗へ

2025/02/12

ヌマスギの枝を手にする加藤さん。手前が切り株

 設楽ダム建設に伴って水没する設楽町田口添沢で11日、県内最大といわれたヌマスギの伐採作業があった。県文化財保護指導委員を務める同町の加藤博俊さん(71)も立ち合い、挿し木で苗を残すための枝を採取した。2代目を育てることで、長年大切にされてきた巨木の記憶を将来へ引き継ぐ考えだ。

 樹高26メートル、幹回り3.2メートルの落葉樹で、「添沢(そえざわ)のヌマスギ」と呼ばれた。今の風景からは想像できないが、辺りはかつて温泉宿の敷地で、木は青々と葉を茂らせ秋には赤茶色に染まった。

 湿った土地を好む木で、周りにはタケノコのような呼吸根が地中からたくさん顔をのぞかせていたそうだ。

 町の天然記念物にも指定されていたが、ダム工事に備えて施設が取り壊された後、土砂の流入などで樹勢が衰えた。加藤さんが切り株の年輪を数え、樹齢は88年とみられることが分かった。

 町内で巨木の記録作成や保護に取り組んでいる加藤さん。「住民が長年見守ってきたヌマスギの2代目を、そのいわれとともに残しておきたい」と意気込んでいる。

 設楽ダムは2034年度完成予定で、国土交通省がダム湖に沈む一帯などで樹木を伐採中。周辺では他に同町川向のラクウショウモドキが町の天然記念物で、こちらは移植する計画だ。

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