【連載】52年越しの悲願成る

名豊道路完成【②物流促進】三河港への輸送1日3往復に/海外輸入車増加も

2025/03/04

海外からの輸入車を陸揚げする三河港(名四国道事務所提供)

 国道23号バイパス(BP)名豊道路の全線開通は物流を促進し、経済成長の起爆剤となる。愛知県は「自動車王国」。名豊道路に直結する三河港は完成自動車の輸出台数が全国2位で、海外自動車メーカーも複数立地しており、全線開通による輸送回数の増加で自動車産業の飛躍が期待される。

 2023年の港湾別自動車輸出台数は、1位が名古屋港の145万台で2位が三河港の86万台、3位が横浜港の75台。三河港の輸出額の約97%に当たる3417億円が機械類と輸送用機器だ。

 トヨタ自動車のお膝元、豊田市堤町には自動車組立工場が集積しており、ここから三河港へ輸送。完成車は1日に約400便、関連部品は約600便が名豊道路で運ばれている。現状では往復で185分かかり、1日2往復しているが、全線開通後は往復150分に短縮されて1日3往復できるようになり、生産性向上が期待されている。

 17年の日本の貿易収支は、自動車や関連部品などの輸送用機器がプラス約15兆円で、貿易黒字の6割を占める。県内を拠点とする大手自動車グループでは、1日約1000便が名豊道路を利用。米国トランプ政権による関税引き上げ方針で不安要素がぬぐえない中、全線開通は頼もしい好材料だ。

 三河港には1991年のフォルクスワーゲンを皮切りに、フォード(93年)、ジャガー・ランドローバー(2002年)、ボルボ(04年)、FCA(フィアット・クライスラー・アルファロメオ、08年)、プジョー・シトロエン(13年)、メルセデスベンツ(14年)が進出。これら海外企業の進出で、14年時点で豊橋市には約4億4000万円の税収が増えた。

 三河港の神野地区には水深12㍍の岸壁を2カ所備えており、一昨年春には新たに現代(韓国)も陸揚げを開始した。今後、さらなる企業進出も期待される。

(つづく)

名豊道路を使った完成車の輸送(同)

2025/03/04 のニュース

海外からの輸入車を陸揚げする三河港(名四国道事務所提供)

名豊道路を使った完成車の輸送(同)

有料会員募集

今日の誌面

有料会員募集

きらり東三河サイト

高校生のための東三河企業情報サイト

連載コーナー

ピックアップ

Copyright © TONICHI NEWS. All rights reserved.

PAGE TOP