法定ビラ問題/市長答弁に高まる不満 豊橋市議会追及続く/政治・道義的責任「現時点では考えず」/「不誠実」「大問題」市議ら厳しい声
2025/03/07
緊急質問で答弁する長坂市長。時間をかけて言葉を選ぶ場面が何度もあった(5日夜、豊橋市議会議場で)
昨年11月の豊橋市長選で長坂尚登市長が配布した法定ビラをめぐり、市議会が追及姿勢を強めている。開会中の3月定例会では、質問に立つ多くの議員が長坂市長の説明に納得しておらず、収束の兆しは見えない。
ことの発端は長坂氏の陣営が作成し、新聞折り込みで市内に配った法定ビラに引用されていたインターネット記事。浅井由崇前市長が職員にパワーハラスメントをしていたとの内容が記されていた。
市長選では長坂氏が初当選。再選を目指した浅井氏は次点だった。長坂氏以外の候補を推した市議会の自民、公明両党や民主系「まちフォーラム」などは、この法定ビラを問題視。昨年12月定例議会での一般質問を受け、市は今年1月末に調査委員会を立ち上げ、引用記事にあるパワハラが事実かどうかを検証した。4日、「パワハラに関する事案は確認できなかった」と結論付ける調査報告書が公表された。
5日の代表質問では、引用記事にあるパワハラの事実を長坂氏自身が確認したのかを星野隆輝議員(まちフォーラム)がただした。長坂市長は「一定の確認をしている」と述べたものの、その方法は「情報源を守るため」として答弁を避けた。
同日、急きょ行われることになった緊急質問には、深夜にかけて7人が登壇した。
坂柳泰光議員(自民)は、法定ビラの引用記事が「投票行動に影響したのでは」と質問。「市長として影響は評価していない」との長坂市長の答弁を、坂柳氏は「不誠実極まりない」と批判した。
古池もも議員(とよはし みんなの議会)も「まったく誠実でない一連の対応は大問題だ」と不満をあらわにした。
新アリーナの計画中止では長坂市長と歩調を合わせる共産党も、今回は厳しい態度で臨んだ。「引用記事が事実でなかったと調査結果から明らかになったのでは」と迫る同党の斎藤啓議員に、長坂市長は「記事の内容が事実と異なると断定できる状態ではない」と弁明した。
斎藤氏が、法定ビラに事実でないことが掲載されていれば「政治的、道義的責任があると思うか」と問うと、長坂氏は「現時点では考えていない」とした。
「この問題を、これで終わりにできなくなった」と斎藤氏が述べ質問を終えると、普段は意見を異にする自民からも拍手が起きた。
6日の一般質問でも追及は続いた。小林憲生議員(自民)は、前日の市長の答弁が誠実さを欠いていたとして「市民に謝罪すべきでは」と迫った。長坂氏は「現時点で謝罪に至るまでの状態ではない」と否定した。