本堂や大師堂など建造物6棟/国の文化審議会が文科相に答申
2025/03/22
山の斜面にたたずむ本堂(普門寺で)
国の文化審議会は21日、豊橋市雲谷(うのや)町の普門寺の建造物6棟を、国登録有形文化財にするよう文部科学相に答申した。市によると、市内の国登録有形文化財は28件になる。
新規登録されるのは、本堂と大師堂、弁天堂(旧龍神宮)、十王堂、鐘楼門、仁王門。いずれも江戸時代に建てられたという。
寺の中心である本堂は、大勢の参拝者が入れるよう内部空間を広くするため柱の本数を少なくし、代わりに梁で強度を保っている。東三河で多く見られる構造だと、歴史的建造物の調査などを行うNPO法人「あいちヘリテージ協議会」の山田章さんは説明する。
弘法大師・空海を祀(まつ)る大師堂は典型的な造りで、天井には植物などの絵があしらわれている。
小さな社(やしろ)の弁天堂は、龍やニワトリの彫刻で飾られている。山田さんによると、ニワトリの飾りは珍しいという。
村から移築されたとされる十王堂は、参道の景観形成に寄与していると評価された。鐘撞(かねつき)堂ではなく、鐘を楼門に収めた鐘楼門は東三河では珍しいという。仁王門には一対の仁王像を安置している。
国登録有形文化財になるのを記念し、寺では4月1日から先代住職が手がけた切り絵の御朱印を1枚1000円で販売する。
林義将住職(37)は「寺の建造物の文化的価値が高まるのがうれしい。寺の宝としてだけでなく、地域の宝として次の時代に残していきたい」と話した。
同寺は、727年に聖武天皇の勅願(ちょくがん)で奈良時代の高僧、行基が創建したと伝えられている。山の斜面に建造物が点在する境内は、紅葉の名所として知られ「豊橋のもみじ寺」とも呼ばれる。