警察活動協力の辻さんへ感謝状

女性警官から逃走する男を押さえる／豊橋署

2025/05/29

清永署長㊧と寺部巡査㊨から感謝状を受けた辻さん（豊橋署で）

　豊橋署は26日、警察官から逃走していた男を取り押さえて摘発に貢献したとして、運送業「マイシン」（豊橋市神野新田町）の社長、辻直樹さん（55）に感謝状を贈った。清永芳弘署長が「女性警官１人で対処していた事案で、正義感に燃えて協力していただいた」と表彰した。

　辻さんは今月17日午後10時ごろ、豊橋市駅前大通りの路上を歩いて帰宅中、逃走する外国人の男（29）を追跡する署員を目撃。とっさに後を追い、職務質問している署員から逃げないように男の腕をつかんで抵抗や逃走を阻止した。

　後の調べで、ベトナム国籍の男は、不法滞在者であることが発覚。署は入管難民法違反で逮捕した。同日夜に外国人数人がけんかしているとの通報を受け、駅前交番の寺部真佑巡査（24）などが出動。男らはパトカーを見て散り散りに逃走したため、寺部巡査は１人で男を追っている状況だった。

　辻さんは、声を上げて追う女性警官と男のただならぬ様子を見て数百㍍ほど追跡。週末の夜に騒然としながら行方を見守る群衆内の唯一の協力者として、不法行為の摘発に貢献した。男はオーバーステイの発覚を恐れて逃走した可能性が高い。清永署長は「腕を捕まれて観念したとみられる。今後は身の危険がない範囲で警察に協力していただきたい」と功績をたたえた。

　辻さんは、追跡した際に足を骨折。日ごろは同社の経営者として交通安全に関する啓発活動などに励んでいる。「怖いとは考えずに反射的に体が動き、女性警官１人だったので大丈夫かなと心配して必死に動いた。一市民としてお手伝いできて良かった」と振り返った。

　寺部巡査は、昨年秋に駅前交番に配属。歓楽街のある地区で日々の治安維持に努めている。「市民の協力あってこその警察活動であると改めて実感した」と辻さんへ感謝の意を示した。