最後の夏 チームと気持ち1つに

蒲郡東高野球の水野紗希さん、マネから選手へ積み上げた努力/高校野球愛知大会初戦は記録員としてベンチへ

2025/06/08

監督と話す水野選手(蒲郡市・蒲郡東高で)

 夏の甲子園出場をかけた高校野球愛知大会の開幕が迫っている。各校で練習が熱を帯びる中、蒲郡市の蒲郡東高校では唯一の女子選手、水野紗希さん(3年)が男子に混じって白球を追いかけている。ルール上、公式戦には出場できないが、最後の夏に向けてチームと気持ちを一つにしている。

 「お願いします」。強風で砂ぼこりが舞う夕方のグラウンドに、部員たちの声が響く。繰り出されるノックに飛びついていく。その中に、肩まで伸びた髪を1本に結んだ部員が1人。高校球児に丸刈りは減ったとはいえ、長髪は珍しい。よく見ると女子生徒だ。水野さんは身長151㌢。女子の中でも小柄な方だが、男子と同じ練習を積み重ねている。

 入部したのは昨年、2年生になってから。担任教諭だった当時の野球部監督に勧められた。中学ではソフトボール部と、豊橋市の女子軟式野球チームに所属していた。チームメートの同級生2人は高校進学後も野球を続ける中、自分だけが関わっていないことに物足りなさがあった。

 昨年、マネジャーから始めて、新チーム始動後、7月半ばから選手になった。ポジションはレフトかセカンド。9月以降は相手校の了解を得て、練習試合に出場している。早々にエラーをしてくじけそうになったこともあったが、ヒットを打てるようになった。

 3年生部員は水野さん含め3人だけ。そのうちの一人、主将の西川湧登さんは「練習熱心。男子と力の差があっても、負けじとがんばっている」。2年生の女子マネジャーたちは「優しくて話をよく聞いてくれる先輩。男子の中に一人で入ってすごい」と手放しで称賛する。

 練習がきつく、何度もやめようと思ったという水野さん。それでも続けられた理由は「やめたらそれで終わり。可能性があるなら続けたい。諦めが悪いんです」と笑う。

 ただ夏の大会でのプレーは諦めざるを得ない。それは覚悟の上で入部したという。「一緒に練習してきたみんなが、出場する姿を見られれば満足」とほほ笑む。初戦は記録員としてベンチに入ることになる。

ノックを受ける水野紗希選手(同)

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