シンポで西粟倉村の森林資源活用紹介/新城
2025/07/25
西粟倉の取り組みを語る上山副村長㊥(新城市商工会館)
「Iターンの方々が人口の2割ほどになった。林業への投資が地方交付税で回収でき、『赤字』にはならない」―。森林資源活用と移住者増加で全国的に注目される岡山県西粟倉村(にしあわくらそん)の副村長が23日、新城市で開かれたシンポジウムに登壇した。小さな村の成功事例に学ぼうと、会場では奥三河の首長らが真剣に耳を傾けた。
西粟倉は人口約1300人で、兵庫、鳥取とも接する県北東部の村。面積の9割余りは森林が占め、奥三河と共通点が多い自治体だ。
パネリストを務めた上山隆浩副村長は「スギ、ヒノキの人工林が地域の最大の資源」と指摘。「市場から離脱して、林業に自分たちで価値を付ける」施策に2008年から取り組んできたと説明した。
「1万立方㍍の間伐材が、市場で売れたとして1億円。ところが村内にいったん留め置き、家具や内装材に加工する、合板会社に売る、地域で燃料に使うなどすれば13億円になる。そこには雇用が130人ほど生まれる」
村はこうした事業を回すために一般財源を投じる一方、後で特別交付税として戻ってくる仕組みなどを活用する。実質的な負担はかなり抑えられるそうだ。
上山氏はまた、薪ボイラーによる温泉加温などの実例を紹介。間伐材を燃料にする薪ボイラーは新城市も湯谷温泉で導入しており、下江洋行市長ら他のパネリストと意見を交わした。
民間事業者による熱利用を促すポイントとしては「設備投資が問題になる。自治体が国の補助事業などを誘導し、民間の初期コストを下げないと成立しない」と語った。
シンポジウムは、奥三河ビジョンフォーラムと新城自然エネルギーが合同で開催。森のエネルギー研究所の虎沢裕大取締役による「木質バイオマス利活用」の講演もあり、オンライン視聴を含めて約100人が参加した。
当日の様子は30日まで、ユーチューブで公開されている。