女性や若者に選ばれる地域づくりを

元総務大臣・大正大教授の片山善博さん/田原で崋山塾記念講演/生産性維持へデジタル化や地域の再評価も解説

2025/08/14

崋山塾で講演する片山さん (崋山会館で)

 郷土の偉人、渡辺崋山を顕彰する田原市の崋山会は11日、崋山塾の記念講演を同市内の崋山会館で開いた。元総務大臣で大正大学教授の片山善博さんが、人口減少時代の地域づくりとリーダーについて述べた。

 演題は「消滅か再生か―岐路に立つ地域社会とリーダーの資質」。日本の人口について「前年から約90万人減った。およそ75万人の東三河より多い人口が1年間で減り、香川県の人口と匹敵する数字。人口減少は深刻で、どう地域社会を維持するか」と指摘した。

 自身が評価するという石破政権の主要政策「地方創生2・0の推進」の中で三つのメッセージを解説し、「これらを念頭に置いて今後の地域づくりに取り組んでいただきたい」と述べた。

 地方創生1・0の反省と教訓を踏まえた地方創生2・0について「人口が減っていくことを受け入れた上で地域を維持するにはどうすべきかを考えていて、賢明なやり方」と説明。「現状、人口は減っていても経済規模を維持、向上できている。それは生産性の向上が理由。生産性を上げるには、まずデジタル化」と語った。

 二つ目として「若者、女性に選ばれる地域づくり」を挙げた。「特に地方を出た女性が戻ってこない。賃金格差など女性を差別、排除する傾向があって、女性が住みづらくなっているのではないかと2・0では書いている。これを解消しないと若い人、女性は帰ってこない。重要な指摘だと思う」と述べた。

 三つ目に「地域のことをじっくり考える」。片山さんは「地方創生1・0で自治体が総合戦略をつくる時、地域のことをじっくり考える機会だったはずなのに真剣に考えなかった。今度は地域の資源、人材、魅力を再評価し、地域経済を盛り立てるきっかけに」と話した。

 また、生産性の向上にはデジタル化のほか、鳥取県知事時代の経験も挙げながら「男女や障害者に関係なく、1人1人の能力がフルに発揮できる環境をつくることがリーダー、トップに求められている」と強調した。

 崋山塾は「田原から未来を拓く志の高いリーダーを育成する」を掲げて開講。講演後、塾生が政策課題研究を発表した。

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