キルギス ベトナムの大学にドローン拠点/新城のベンチャー 名古屋の企業と合同で
2025/09/02
大学の一室に設置予定のセンター。談笑する鈴木社長㊧
新城市のベンチャー企業「みかわ元気ものがたり」(鈴木達也社長)は、名古屋市のドローン(無人航空機)スクール運営会社と合同で、ドローンの技術提携を結んだ中央アジアと東南アジアの2つの大学にドローンの拠点「ドローン普及・教育センター」の設置に向け、動き出している。日本の補助金が認められたためだ。設置されれば、産業用ドローンの普及を目指す一歩となりそうだ。
■飛行デモも
2つの大学は、キルギスのキルギス工科大学とベトナムのダナン大学研究部門のダナン大学ソフトウエア開発センター(SDC)。みかわ元気ものがたりは、それぞれ2024年7月と22年9月に技術提携した。SDCとこれまでに日越の学生が参加してオンラインで意見交換会を開くなどした。
鈴木社長が、経済産業省に申請した提案書によると、工科大とSDCにセンターを立ち上げてドローンの法整備や操縦訓練、産業分野での普及などに努める。政府、地元企業などを巻き込み、両国にドローン産業を起こすきっかけにしたい考えだ。
このうち2月までに、ドローンスクール運営会社「For Nature」と一緒に立ち上げたセンターなどで大学生らにドローンの操縦を教え、モデル機を作って飛行デモンストレーションを行う。さらに政府・大学関係者らに事業化に向け提言する予定だ。事業費は約700万円。うち約500万円が補助金。
すでに工科大の一室約20平方㍍がセンターと決まり、その入り口にセンター名の「KYRGYZ JAPAN DRONE RESEARCH CENTER」(仮称)の表示板も掲げることが認められ、内装も済んだという。SDCにはすでに補助金が出ることを知らせており、センターの設置に向け準備が進むとみられる。
■協定内容実行へ
みかわ元気ものがたりは18年、事務所に「日本ドローンビジネスセンター」を併設し、ドローンの普及に取り組んでいる。今年2月、経産省にグローバルサウス(新興・途上国)向け未来志向型共創等事業費補助金の支給を求め、申請していた。認められたことで、業務提携した工科大とSDCの「企業がドローン技術とノウハウを提供し、大学が講座を設け研究室を企業に提供する」との協定内容が実行されることになる。2つの大学のほかにダナン工科大学とも技術提携している。
鈴木社長は「どちらも親日国。ドローンを通して少しでも両国の発展につながればうれしい」と話した。