お相手はAI「会話恐竜」/豊橋技科大がイベント用メタバース開発
2025/10/14
VRゴーグルをかぶってイベント用メタバースを開発する鳥海さん(豊橋技科大で)
「恐竜ワールド」にようこそ。豊橋市の豊橋技術科学大学は、インターネット上に仮想空間を創り大学内で「会話恐竜」などと遊べるイベント用メタバースを開発、25日の田原市の田原東部市民館まつりで披露する。地域貢献事業の一つで、出展するのは3回目。あなたも体験してみませんか―。
■分身が案内
開発の中心は、大学院工学研究科の北﨑充晃教授の研究室で学ぶ情報・知能工学専攻2年の鳥海智志さんら4人。このうち鳥海さんはネット上に創った仮想空間の分身(アバタ)をVR(仮想現実)ゴーグルで動かす仕組みなどの基盤を受け持ち、他の3人はステージやいろんな物の配置などを担当し、3月ごろからそれぞれ創り始めた。
今年の目玉は会話恐竜で、AIが組み込まれている。例えば格納庫が開き、恐竜1頭がお目見えする。ゴーグルをかぶった鳥海さんは、コントローラを動かし画面に映ったメガホンをめがけ「こんにちは、きょうは何を食べた」と聞く。
分身が内容を伝えボードに記されると、しばらくして恐竜は「うるせい。ステゴサウルスを食べた」と乱暴な言葉で話す。こんな会話が続き、「何歳ですか」「体重は何キロ」「好きな食べ物は何ですか」などの簡単な質問には答える。
仮想空間の「舞台」は、技科大正門近くのA棟(講義棟)。昨年、開発に協力してもらった専門業者が創っており、そのまま利用する。新たにこれまで固定されていた他の恐竜が動くほか、昨年同様に分身を追って建物内を自由自在に探索することができる。
鳥海さんは本番に向け、「あまり知られていない情報をAIに教え込むのは難しいが、できれば大学教員と学生がどんな研究をしているかなどを恐竜が答えられるようなシステムを創りたい」と話した。
メタバースを活用した市民館まつりへの出展は、研究教育システムの価値向上と財政基盤の拡大を進める国立大学経営改革促進事業の一つ。市民館の「子どもたちに科学に関する機会を」との要望を受け、北﨑教授の研究室が昨年から開発したイベント用メタバースを出展している。「子ども、大人もメタバースを体験してもらい、科学に目を向けてもらえれば」と話した。2年前は別の教授の研究室がロボットを展示している。
■ロボットも出展
田原東部市民館まつりは、午前10時から午後3時まで。地元の小学校、保育園、児童クラブなどの作品展示、和太鼓クラブ、シンガソングライターらの演奏をステージで発表するほか、愛知産業大学(岡崎市)の石橋豊教授の研究室が遠隔書道ロボットを出展する。バザーのほか、商工会まつりで共同開催する餅投げもある。雨天決行。
問い合わせは田原東部市民館
=電話0531(22)5027=へ。