豊橋技科大「恐竜会話」メタバース/愛産大「遠隔書道ロボ」/田原東部市民館 市民館まつりで子どもらに人気/予想覆す順応性 開発側から驚きの声も
2025/10/29

VRゴーグルをかぶって「会話恐竜」と会話を楽しむ子どもたち(田原東部市民館で)
子どもたちに科学を親しんでもらおう―。田原市の田原東部市民館は、大学が開発した機器を取り上げ、3年目を迎えた。地域の人たちでにぎわった25日の市民館まつりで、イベント用メタバースや「遠隔書道ロボット」が披露され、子どもたちの人気を集めた。市民館は来年に向け、「さらに深化した姿を見せたい」と意欲を燃やす。
■メタバース
「体長は何メートル」「ごはんは何?」―。VR(仮想現実)ゴーグルをかぶった田原東部小学校3年の清田凉生君、坂田大和君、尾崎公亮君の「仲良し3人組」が、コントローラでインターネット上に創った仮想空間の分身(アバタ)を動かすと、AIが組み込まれた「会話恐竜」が画面にお目見え、話しかけた。「恐竜は体長が13メートル。食べ物は肉と答えた」と話し、「楽しかった」。他のところを回り、「また来る」と目を輝かせた。
メタバースを開発したのは、豊橋市の豊橋技術科学大学大学院工学研究科の北﨑充晃教授の研究室。指導した北﨑教授は3人の姿を眺め、「コントローラの使い方が慣れている」と感心した。しかし、画面のメガホンに向けて話さないと恐竜と会話ができず、「すぐには話が難しいだろう」。それを覆し、「恐竜と話している」と驚きを隠せない様子だった。
開発の中心は北﨑研究室で学ぶ情報・知能工学専攻2年の鳥海智志さん。昨年に続き2回目の参加だ。「前回より来場者は多い感じ。子どもの科学への興味が高まったと思えた」と感想を語った。
■書道ロボット
また、岡崎市の愛知産業大学経営学部の石橋豊教授の研究室が遠隔書道ロボットを出展した。ロボットがネットの仮想空間に創った毛筆を動かす仕組みは、メタバースと同じ。毛筆を置くと採点する。「今後、高齢者の認知症チェックに役立つ」と期待される。
田原東部小4年の中村綜汰君は、書道ロボットで書に初挑戦した。「書道の手本になるように丁寧に描いた。難しく、最初は30何点だったが、最後は50点ぐらいに上達した。楽しめた」と喜んだ。
■主役は子ども
市民館の冨田昌義館長は2023年、館長に。それまでの3年間、コロナ禍で市民館まつりが中止され、地域住民の交流があまりなかった。地域を盛り上げるため、その年に復活したまつりで「子どもが主役。科学の目を養ってもらいたい」と知人で別の技科大教授の研究室に頼み、開発した機器を紹介した。北﨑研究室は2回目、石橋研究室は初めての出展。
冨田館長は「たくさんの人でにぎわった。来場者は昨年より1、2割は増えたのでは」と総括。メタバースや書道ロボットについては「小学生のほか中学生や大人も訪れ、関心を集めた。来年は研究室と相談して進歩させたものを見せたいと思う」と話した。