設楽町川向の東堂神社/「ほっとした」と元住民
2025/12/08

東堂神社からご神体を運び出す元住民ら(設楽町川向で)
設楽町川向の設楽ダム水没予定地近くに残る「東堂神社」に7日、元住民らが集まり、ご神体を町内の別の神社へ移す遷座祭を執り行った。人々が故郷を離れて既に10年ほどが経過。氏子総代長の原田礼史さん(77)=同町清崎=は「何とかしなければと思っていたので、ほっとした」と一区切りがついた心境を語った。
2034年度完成予定の設楽ダムにより、川向地区では多くの土地が水没する。13年には閉区式があり、30世帯が町内外へ移転を余儀なくされた。
国道257号脇の谷間にある東堂神社も、国道付け替えに伴って敷地が工事用地になることが決まり、今回の合祀(ごうし)を後押しした。社殿は近く解体される。ダム建設による町内の神社の移転や合祀は、これが最後になるという。
東堂神社の創建時期は不明だが、1570年に建て直したときの棟札が残る。イチョウなどの巨木も長い歴史を感じさせる。
元住民らが思い出すのは、秋のお祭りだ。遠山大樹さん(47)=同町田口=は「イチョウの下にシートを広げ、みんなで宴会をした。カラオケ大会もあった」と懐かしんだ。
東堂神社を受け入れた同町田口の白山神社では7日、合祀祭が開かれた。白山神社側の団体の後藤吉孝会長(68)は「選んでもらってありがたいこと。同じ町内の神社として一緒にやっていく」と歓迎した。
遷座祭などには、国土交通省設楽ダム工事事務所の舘井恵所長や、町の担当者らも参列した。