豊川市/相次ぐ不適切な事務処理 市議会から厳しい声/市民へ直接影響の事例も/悪質性低いものの…欠ける法令への理解
2025/12/19

職員による不適切な事務処理が相次いだ豊川市役所
豊川市で今年、市職員の不適切な事務処理による不祥事が相次いだ。いずれも悪質な事案ではないものの市民に直接影響を及ぼしたケースもあり、議会では職員の意識改革を求める厳しい声が上がっている。
5月、障害福祉課で市民の個人情報が記された特別児童扶養手当の申請書類一式を紛失。11月には清掃工場の公用車が車検切れのまま11日間にわたり公道を走っていたことが判明した。今月には県農地バンクへ貸し付けた農地に固定資産税の軽減措置が適用されず、所有者117人に過大徴収した可能性があると発表した。
昨年は徴収税額決定通知書の誤記載、保育料の未還付や国民健康保険の所得入力ミス、子宮頸がんワクチンの予防接種予診票の誤送付といった事案が起きた。
市は、職員の確認の怠りや制度に対する理解不足、引き継ぎの不備が原因で発生したとして再発防止策を公表している。
今年は〝議会軽視〟とも受け止められかねない条例違反も生じた。一般競争入札で落札された土地を議会の議決を経ずに売却したとして、今月の議会定例会で追認する議案が提出される事態となった。この件でも職員の法令への理解が欠け、事務手続きを失念していたという。
16日の議会最終日では冨田潤、堀内重佳の両市議がこの件で厳しく追及した。市はこれまでチェックシートに定められた内容のみの確認で、議決を要する価格や規模に関する項目が設けられていなかったことも原因だと説明。再発防止へ、複数の職員によるチェック体制の強化や副市長通知による法令遵守の周知を図ったと説明した。
あくまで法令遵守への意識の希薄が原因で悪質性は低く、早急に対応したことも考慮して職員を処分する考えはないとしたうえで「全庁的な意識向上に努めるなど再発防止に取り組み、万が一、今後同様な事案が発生するようなことがあれば厳正に対応したい」としている。