【回顧2025(豊橋市)】再び動き出した新アリーナ事業 球場移設計画/新たな動物愛護行政の拠点/動物愛護センターが完成
2025/12/28

住民投票でアリーナ継続に賛成多数が確実となり、喜ぶ事業推進派の人たち(7月、市内で)
2025年、豊橋市では初の住民投票によって、昨年の市長交代以来続いてきた多目的屋内施設(新アリーナ)事業を巡る市政の混乱が決着をみた。アリーナ事業に伴う球場移設計画にも動きが。また新たな動物愛護行政の拠点として、動物愛護センターが完成した。
新アリーナ事業を中止するとして初当選した長坂尚登市長だったが、いつまでたっても事業者と契約解除の話し合いはまとまらず。そうこうするうち、市議会の5月臨時会で事業継続の賛否を問う議員提案の住民投票条例が成立した。
長く続いた論争に白黒つけるべく、推進・反対両派が運動を繰り広げた。7月の参院選と同日実施された投票結果は、賛成が10万6157票、反対は8万1654票で賛成多数という結果に。これを受けて長坂市長は従来の方針を一転させ、事業継続へと舵(かじ)を切った。10月、市と事業者の間で変更契約が結ばれ、約11カ月ぶりに工事が再開された。ただし、工事中断の影響で開業時期は当初の予定より2年遅れて29年10月になる見通しだ。
アリーナの建設予定地にあった豊橋球場が廃止され、代わりの野球場を三河湾岸の豊橋総合スポーツ公園B地区に建設する計画にも、新たな展開があった。
津波などのリスクを懸念する長坂市長の就任で同計画も中断していたが、アリーナの住民投票後の8月、新球場の基本設計が公表された。9月に市民説明会が開かれたのに続き、10月から11月にかけて防災専門家らへの意見聴取が行われた。
こうした手順を踏み、市は防災対策を強化した上で、基本設計通りの予定地にメイン球場とサブグラウンド2面を整備することを11月に発表した。
10月には、動物愛護センター「あいくる」が開所した。約997平方メートルの平屋建てで、猫の室内飼いをイメージできる「猫モデルルーム」や、犬や猫の飼い方講習会などの会場になる多目的ホール、犬猫の譲渡室などを備える。
愛称の「あいくる」は公募で決定。「愛くるしい瞳の犬と猫、みんなが犬と猫に『会いに来る』、犬と猫に『愛が来る』施設にしたい」との思いが込められた。
猫モデルルームはネーミングライツ(命名権)のパートナー募集により、中央製乳(同市)の「中央製乳キャットルームMilk」と名付けられた。