東三河の児童相談所、子どもらの人格形成を不安視
2025/12/28

東三河児童・障害者相談センター(豊橋市内で)
児童虐待に関する対応や相談を担う県東三河児童・障害者相談センター(児相) では今年、子どもらをケアする事案が例年を上回るペースで増えている。虐待が疑われる通報が相次ぎ、保護先となる施設や担当者の確保にも苦慮。センター職員は「少子化が進む中で虐待の数は増えている状況」と危機感を強めている。
センターは東三河4市(豊橋、豊川、蒲郡、田原)が管轄。今年4月から9月末までの半年間に、虐待に関する対応は約400件あった。昨年度は年間に730件で、2023年度は774件。今年は過去最多を更新する状況で推移する。
内容は、夫婦間で暴力や暴言を子どもの前で繰り返すなどする「心理的虐待」が最も多く、次いで暴力や家から閉め出すなど「身体的虐待」と続く。不安定な世帯で育った子は、自身に危害が及ぶことを恐れる心情に陥り「自分のせいでケンカしている」と考えてしまうなど、健全な生育に多大な影響が及ぶ恐れがある。
センター職員は「落ち着かない家庭で生活することで、後の人間関係や社会生活にも悪影響が出ることがある」と危惧する。対象となる子に事情を聞くと「たたかれないならば家にいたい」や「怒られないなら帰りたい」と話すこともあるという。
◆課題が山積
状況の改善が難しいと判断した際は、親と離れて暮らす「一時保護」の措置を図る。しかし定員が埋まった関連施設が多く、職員は受け入れ先を見つけるために県内全域へ連絡し続けて子どもらの安全を確保する事態が続いている。
安定した生活を数年間続けた後で「早く保護してほしかった」と打ち明ける子どもがいる。子育てに悩んだ末に衝動的な行動を取る保護者もいる。複雑に入り組む問題や親子の心理と向き合う職員の確保も課題となっている。
センターは、児童相談所虐待対応ダイヤル「189(いちはやく)」や匿名で利用できる「親子のためのLINE相談」の利用も勧めている。職員は「保護した後も親子の関係は絶たず、いずれは帰宅して生活してもうことが理想。早期の発見が大切となる」と話している。