【回顧2025(社会)】高校生による殺人事件・農作物や高級車盗難連続発生/ルール逸脱した危険運転も 問われる地震への備え
2025/12/29

殺人事件のあった現場(田原市内で)
東三河では今年、高校生が自宅で祖父母を殺害する事件が起きた。高級車が立て続けに盗まれ、高値の農作物が持ち去られる被害も発生。交通ルールを著しく逸脱した危険な運転や、多額の現金をだまし取る詐欺グループの行為も続いた。
◆住宅で殺人事件
5月、田原市大草町の住宅で男性(75)と妻(72)が遺体で見つかり、田原署捜査本部は殺人の疑いで、孫の同居する男子高校生(当時16)を逮捕した。午前2時ごろに自宅にあった包丁で刺殺したとみられる。夫婦の体には全身に刺し傷があった。
高校生は、学校から帰宅した際に2人の遺体を発見したとして母親を介して警察へ通報していた。逮捕時には「間違いない」と容疑を認めていた。
◆地域に不安感
7月、田原署などは伊川津町のプレハブ小屋に火を放ったとして、非現住建造物等放火の疑いで男を逮捕。今年2月に同町で不審火が連続してあり、2023年にも枯れ草などが焼ける火災が起きていた。
2月、田原市の畑から大量のキャベツが盗まれる被害が発生。重さ約1㌧にもなる量で、価格が高騰していた時期に農家へ打撃を与えた。高値となるサイズを見極めて持ち去る手口で、市場などに持ち込んで収入を得る目的とみられる。
各地で高級車の窃盗事件も多発した。「ランドクルーザー」や「レクサス」などが盗まれる被害が相次いだ。特殊な装置で施錠を解いてエンジンを始動させる手口とみられ、住宅駐車場での被害が目立った。
◆危険運転
4月、豊橋市内の交差点2カ所でひき逃げ事故が発生。豊橋署は自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)の疑いで、乗用車を運転していた男を逮捕した。飲酒後に赤信号の交差点に入り軽乗用車とオートバイに相次いで衝突。2人を負傷させたにも関わらず車を放置して逃走していた。その後に名古屋地裁豊橋支部であった裁判で、男に実刑判決が下された。
11月には飲酒ドライバーによる死亡事故が発生。同署はバイクの男性をはねて死亡させたとして、軽乗用車の運転手を危険運転致死の容疑で送検した。
◆多額の被害
詐欺被害も相次いだ。無料通話アプリやSNSを通じて警察官を名乗って現金を要求する手口や、虚偽の投資を勧誘する犯行が多発。「逮捕されるかもしれない」や「簡単にもうかる」などの言葉で相手の心理に付け込む手法が多く、数千万円をだまし取られた被害者もいた。
同市内では11月末時点で、特殊詐欺とSNS型投資詐欺による被害額は約6億4200万円。前年同時期と比べて約5億1500万円増加している。
◆遠地地震で津波観測
7月30日午前、ロシア・カムチャツカ半島付近を震源とするマグニチュード(M)8・8の巨大地震があり、太平洋沿岸を中心に一時津波警報が発表された。田原市赤羽根で50㌢、豊橋市三河港で20㌢の津波を観測した。両市の海岸沿い住民らは避難。けが人はいなかったが自治体や企業、学校関係者らは対応に追われた。南海トラフ巨大地震の発生が懸念される中で、非常時における行動や対応が問われる1日となった。