福岡小「交通少年団」発足から半世紀/3世代で地域貢献に励む一家
2025/12/29

専用コースで自転車の乗り方を学ぶメンバーら(豊橋市福岡小学校で)
豊橋市福岡小学校(橋良町)の「交通少年団」は発足して約50年以上にわたり、警察署と協力して安全や啓発活動に励む。少子化が進む中で市内少年団の活動は縮小して事実上一校のみが継続。メンバー確保や引率者の不足に悩む校区が多い中、3世代で活動する一家は少年団の理念を地域に届けている。
◆伝統引き継ぐ
本年度は2年生から6年生までの計12人が活動する。メンバーは「交通安全子ども自転車愛知県大会」へ市の代表として出場。校区内では豊橋署のパトカーに乗ってパトロールする広報や、スーパーなど店舗では防犯活動にも励む。
昨年度まで市内4校が活動していたが、本年度は同校のみとなった。育成委員長の天野智子さん(73)は40年以上にわたって少年団を引率。かつては50人以上のメンバーがいた時代もあった。「幼いころから交通ルールを身につけることができ、保護者にも自然と良い影響を及ぼす効果もある」と活動の意義を語る。
長女の大口二美(ふみ)さん(48)は少年団のOBで孫の6年生、裕翔(ひろと)君(11)は現メンバー。孫娘の高校生も経験者で、一家そろって安全意識を染みこませてきた。天野さんは「体が持つ間は続けていきたい。いずれは次世代にバトンを渡したい」と語る。
二美さんは仕事の合間を縫って週末は子どもらに付き添ってきた。新型コロナ禍には団員が7人まで減少。存亡が危ぶまれる中で地道な活動を続けてきた。「子どもらと保護者は楽しみながら参加している。微々たる影響かもしれないが、悲しい事故の減少に貢献できれば意味があるはず」と話す。
校区内は交通量が多く、危険な運転をする車や自転車も散見する。裕翔君は定期的に学校前でプラカードを掲げた立哨活動を実施。パトカーからの広報も自身の言葉で地域に発信した。「呼びかけに反応してくれる運転手もいた。特別な機会で良い経験ができた」と少年団での活動を振り返った。
◆継続する意義
学校グラウンドには自転車の練習コースがある。曲がり道の走り方や交差点での止まり方、線路を模したレーンなどで交通ルールを学ぶことができる。
豊橋署交通課の河原典幸警部補は、メンバーとパトロールし、同校のコースで自転車の乗り方も指導。安全教室ではユーモアを交えて子どもらとふれ合ってきた。「メンバーから友達、家族へと安全意識が広まることが重要。活動に興味を持ってくれる子どもらが増えてほしい」と願っている。