紙芝居で語り継ぐ/来月23日まで蒲郡市博物館で企画展
2026/01/21

紙芝居を披露する巳午会(蒲郡市博物館で)
蒲郡市博物館で開催中の企画展「三河地震と戦争と」の関連イベントとして、三河地震(1945年1月13日発生)の被害を伝える紙芝居の上演会が18日、同館で開かれ、大人から子どもまで約50人が鑑賞した。
市内で死者が集中した形原町の住民有志でつくる「形原五七巳午会(みうまかい)紙芝居同好会」が、発生から70年の節目に当たる2015年に紙芝居を制作し、公民館や小学校などで披露している。
紙芝居は「隠された災害 三河地震の記憶」と題し、被災者からの聞き取りや文献を基に作られた。倒壊した家屋の下敷きになって亡くなった人や奇跡的に生き延びた人、避難生活の苦労などが描写されている。来場者は、巳午会の尾崎嬉子さん(84)と田中伸子さん(83)による方言を交えた素朴な語り口に聞き入っていた。
■語り継ぎに光
巳午会の会員は中学の同級生で、1941年度の巳年と午年生まれ。全員が80代半ばとなり、昨年限りで活動を終えるつもりだったという。しかし今回の企画展に際し、担当の松田繁学芸員から熱心な依頼があり「泣きの一回」を引き受けた。
会の存続が危ぶまれる中、光明が差した。趣味で紙芝居や絵本の読み聞かせをしている名古屋市の宮下善孝さんが会の活動を知り、入会を申し出た。会員より一回り年下の71歳だ。「私のえとも午。巳午会にご縁を感じた」と宮下さん。発足メンバーの牧原重夫さん(84)は「地元でも後継者を探している。子や孫にも声をかけている」と前向きだ。
■貴重な体験画
三河湾を震源とするマグニチュード6・8の三河地震は1945年1月13日未明に発生。2000人以上が亡くなったが、戦時下の情報統制で記録が少なく「隠された地震」とされる。企画展では被災者の体験に基づく貴重な資料を展示している。
目玉は37枚の「体験画」。2005年出版の書籍「三河地震60年目の真実」の制作過程で、市内6組の被災者への聞き取りを基に描かれた水彩画だ。当時、名古屋大で制作に関わった関西大の林能成教授と兵庫県立大の木村玲欧教授から提供された。
ほかに関連行事として、25日午前11時から「金沢ヒューマン文庫を愛し守る会」が紙芝居「じしんはおそげえ」を上演する。31日は地震体験車「なまず号」が来場。2月1日午後1時30分から展示解説が行われる。
企画展は2月23日まで。月曜と第3火曜休館。