豊橋市民文化会館の大野俊治元館長/会館ホール新装記念特別展/来月13日/日本画中心に40年 感情や世相反映―個性豊かな作品群
2026/02/25

特別展に向けて準備をする大野元館長(豊橋市内で)
日本画を始めから約40年を振り返る豊橋市民文化会館の大野俊治元館長(73)は3月13日、会館ホールリニューアルオープンを記念して2階展示室で始まる特別展に出展する。作品は今に生きる人間の深層心理を追究したり、東日本大震災やコロナウイルス禍の世相を反映したりするなど個性豊かな作品ばかり。「作品を通して表した人間の喜怒哀楽を感じてもらえたら」と来場を呼びかける。
■評価の「化身」
大野元館長は、アートの独自の世界を追究する美術家集団「人人(ひとひと)会」代表でもある。会場に飾られる1985年作の「化身」は傑作の一つ。「これからどう生きていくか」。壁を破って出てきたものの、不安と迷い、苦しんでさまよう姿を描いた。
人人会を立ち上げた一人で「戦後の日本画の変革者」と呼ばれた市出身の日本画家の星野眞吾(1923~97)から「推薦する」と勧められ、会が主催する人人展に出展した初の作品。これをきっかけに会員となった。
2020年作のコロナをテーマにした連作「CLUSTER(クラスター、集団感染)も自信作の一つだ。「密接」「密閉」「密集」の「三密」でウイルスの感染が広がり、妖怪「アマビエ」が疫病を退散させてコロナの「終息」宣言となるストーリー。暗い世相の中に明るさの兆しを感じさせる「4コマ絵画」だ。
ユーモラスな作品も。23年の近作「平凡な日常―F・A・C・E―〝吽(うん)〟『ドラマで娘が父親に優しい言葉をかける場面を見て涙腺が緩むが泣くまいと必死で堪(た)える吽形(うんぎょう)』」。タイトル通り泣くのをじっとこらえる表情が伝わり、クスッと笑ってしまいそうだ。
■感情渦巻く
タイトルは「大野俊治の世界1985―2023~人か佛(ほとけ)か妖怪か?~」。星野との出会いで油絵から日本画に転向した時代から始まり、ボックスアートやボックスアートと絵画の融合を経て釈迦(しゃか)と十六羅漢に例えた「おおきなおじさんシリーズ」や戦国時代に伝わった医学書に登場する「腹の虫」、七福神などを取り上げ、「家族シリーズ」に至る計100点を展示する。東日本震災で亡くなった人たちに祈りを込めたオブジェも飾る予定だ。
大野元館長は2014年4月から9年間、館長を務めた。現在、碧南市藤井達吉現代美術館特任学芸員。「個性派画家」に加え、ドラムをたたくミュージシャンの「三刀流」である。特別展の開催を控え、「作品の中にはいろんな感情が渦巻いている。どんなつもりで描いたか。その一端を知ってもらえたら」と話した。
市文化課と会館の運営を管理する豊橋文化振興財団が主催。22日まで。16日は休館。会館ホールの修繕工事は24年7月から始められていた。