同じ場所の今昔 並べて解説

本紙連載「写真で巡る渥美半島の足跡」書籍化/田原の元教員・藤城信幸さん 「未来への手掛かりに」と期待

2026/04/14

販売された「新旧写真が語る渥美半島の昭和」を手に持つ筆者の藤城さん(田原市内で)

 東日新聞で好評連載中の「写真で巡る渥美半島の足跡」が本になった。タイトルは「新旧写真が語る渥美半島の昭和」。街の中心部の変遷やトヨタ自動車の進出、爪痕を残した災害地はどうなったか。筆者の田原市豊島町の元教員藤城信幸さん(71)が、同じ場所の今昔の2枚を並べ、その変化を解説する。渥美半島の戦前・戦後の「生活史」の一端がうかがえると発売とともに反響を呼んでいる。

戦前・戦後「生活史」の一端うかがえると反響

 ■明暗分ける
 街の中心部が大きく変わったのが、2004年にオープンした複合商業施設「セントファーレ田原」。スーパーや飲食店、書店、スポーツクラブなどが入る。かつて買い物客でにぎわった旧田原町の上町商店街の衰退で跡地に誕生、地域を活性化させた。開業20周年の時と、「大売出し」ののぼりを掲げ活気あふれたころの上町商店街と写真で対比させた。

 1960~70年代のマイカー時代の到来とレジャーブームで旧渥美町の二つの地域は、「明暗」を分けた。伊良湖は港の完成で整備された観光施設がにぎわい、バブル経済も重なり渥美フラワーパークは93年に33万人の入場者を記録、そのころの模様を写真で伝えた。一方、「港町」として栄えた福江の下地商店街は活気を失った。旧赤羽根町では、旧道沿いの店が県道沿いに移り、新しい商店街をつくった。

 旧田原町で地域経済を支えたのがトヨタ。79年には臨海部で操業を始め、その後に工場を増設。人口の増加で町の発展につながった。蔵王山から撮影した操業時と増設後の写真を比べると、規模の違いは一目瞭然だ。

 ほかに今は面影が見られないが、写真は44年の東南海地震と59年の伊勢湾台風の惨状をとらえ、災害の恐ろしさを紹介する。旧3町の合併で田原市になったものの、子どもが減少する学校の現状も伝えている。

■出来事の年表も
 本には、開発で姿を変えた市街地や住宅地、かつての面影をとどめる地域など約70カ所を収めており、今昔の写真2枚を通して皆さんに時の変化を考えてもらうのが狙い。半島の出来事を年表で表し、その場所で過去に住んでいた人の思い出や寄稿も載せた。

 税抜きで1000円。800部を印刷。3月中旬から田原や豊橋の書店で販売されており、「地元の歴史や変化がわかり、近所の人の声も掲載され親しみが持てる」などとの声が上がっている。

 藤城さんは、集めた戦前、戦後の貴重な写真などを多く持っている。同じ構図の近況写真を加え「生かす方法はないか」と相談を受けて東日新聞では、「昭和100年写真が語る渥美半島の歩み」として昨年4月から連載を始めた。今年1月から「渥美半島の足跡」に変更した。

 藤城さんは「本が半島の未来への手掛かりになればうれしい」と期待を寄せ、「東日の連載もよろしく」と話した。

2026/04/14 のニュース

販売された「新旧写真が語る渥美半島の昭和」を手に持つ筆者の藤城さん(田原市内で)

有料会員募集

今日の誌面

有料会員募集

リクルーティング

高校生のための東三河企業情報サイト

連載コーナー

ピックアップ

Copyright © TONICHI NEWS. All rights reserved.

PAGE TOP