畠山隆吉八段「範士」に

剣道最高位東三河では2人目の栄誉/母校剣道部消滅の危機「一人でも入部すれば指導する」/全国制覇の名門 部員1人/生徒減少他部活にも影

2026/06/18

豊橋市剣道連盟の練習会を見つめる畠山さん

 剣道の愛知県警名誉師範で県立豊橋商業高校剣道部を指導してきた豊橋市の畠山隆吉八段(73)が5月、全日本剣道連盟から最高位の称号「範士」を授与された。「範士八段」は東三河で2人目の栄誉となったが、教師を務める母校の剣道部では部員が減少。全国を制覇した実績を誇る名門が、廃部の危機に立っている。

 ◆八段から26年
 設楽町生まれで中学から剣道を始めた畠山さんは、強豪だった豊橋商高に進学。3年時に出場した高校総体では個人3位となり、優秀選手にも選ばれた。卒業後は愛知県警に「特別訓練員」として入庁し、全日本剣道選手権大会に2回出場するなど活躍。39歳で引退した後は県警の指導者となり、フランスに派遣されて指導した経験もある。48歳で合格率1%とされる最高段位「八段」に合格。定年退職後は、母校や豊橋市剣道連盟の練習会などで指導を続けてきた。

 剣道には技量を示す段位とは別に、見識や指導力、普及への貢献などが評価される称号がある。「錬士」「教士」の上が「範士」で、「範士八段」は現在の審査制度になって以降、東三河では愛知県剣道連盟会長の大嶽將文さんに次ぎ、畠山さんが2人目になる。

 八段昇段から26年かかった範士授与に、畠山さんは「周りから遅いと言われるが、恩師の『剣道屋になるな、剣道家になれ』という言葉が頭を離れない。名誉ではなく、人から見て『いい剣道をしている』と言われるのが一番だ」と剣の道に生きた半生を振り返る。

 ◆一対一の練習
 定年後、毎日のように指導を続けた豊橋商高剣道部だったが、入学定員削減などの影響もあり、4、5年前から部員が急減。団体戦に出場できなくなり、ついに今年は未経験だった3年生1人だけになった。師と生徒、一対一で対峙する練習。畠山さんにとっては「初心者だった生徒を指導して、私自身も教えられることが多い。剣道家を目指す精進だった」と語る。

 同校剣道部は1958(昭和33)年の国体などで優勝し、多くの名選手を輩出した名門。しかし、今年も新入生の入部はなく、学校からは「部員を募集しない」と告げられた。現在は同好会となり、最後の3年生部員が卒業すると名門の歴史に幕が下りる。

 同校では他にも存続が危ぶまれる部があり、同窓会長の田辺憲一さんは「剣道だけでなく、一人でも入部したいという生徒がいるなら続けてほしい」と学校側に申し入れた。畠山さんも「商業での厳しい練習で鍛えられたからこそ、今の自分がある。恩返しがしたい。一人でも入部してくれれば指導する」と部の存続を願っている。

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