語り継ぎに取り組む女子高生が学ぶ渥美線電車機銃掃射
2026/06/30

慰霊碑の前で彦坂代表から説明を受ける小林さん(田原市内で)
太平洋戦争終戦前日の米軍機の攻撃で、多数死傷した「渥美線電車機銃掃射」を語り継ぐ田原市の「前日の会」の出前授業に、関心が高まっている。戦争体験の語り継ぎに取り組む名古屋市の女子高生が機銃掃射について学んだ。地元の中学校3年生が来月、この惨事を紹介した紙芝居を初めて鑑賞する。小学生を中心に行ってきた出前授業が中高生世代にまで広がりを見せており、会は今後の活動の励みになると喜んでいる。
■次世代伝える
渥美線電車機銃掃射は1945年8月14日に起きた。米軍機が現在の田原市を走る渥美線の電車を銃撃し、乗員を含む15人が死亡、16人がけがを負った。
21日、前日の会の出前授業を受けたのが、名古屋市の名古屋商業高校2年の小林実乃梨さん(17)。旧満州(現中国東北部)で戦死した大叔父に興味を持ち、戦没者遺族会や戦争の記録を伝える団体を取材するうちに会を知った。
機銃掃射の現場の神戸駅で会から歓迎を受け、市が5月に駅近くに建てたその出来事を伝える案内板の説明を受けた。踏切脇の「大東亜戦争動員学徒殉職之碑」に足を運び、亡くなった成章中(現成章高校)6人の話を聞き、手を合わせて冥福を祈った。
小林さんが心を揺さぶられたのは、近くの市民館分館で上演された紙芝居『前日物語』で、負傷者が運ばれた病院の一場面。瀕死(ひんし)の重傷を負い「おぶおぶ」と泣いていた幼児に触れ、「爆心地で水をせがむ子供の姿とだぶった」と複雑な心境をのぞかせた。手術台で「天皇陛下万歳」と叫び死んでいった中学生にも言及し、「軍国教育で『洗脳』されていた」と感想を語った。
出前授業のまとめとして「現場を見て話を聞き、平和が続き戦争が81年間起きていないのは当たり前でないと感じた」ととらえ、「二度と悲劇を繰り返さないためにも、聞いた戦時中の出来事を次世代に伝えたい」と決意を語った。
■衝撃きっかけ
一方、田原中学校3年E組は9日、社会科の「戦時下の人々」に併せて会の出前授業を受け入れ、その取り組みや機銃掃射の出来事などを学んだ。担任の村井亮哉教諭(25)が3年前、紙芝居を見て「地元に悲惨な出来事があったのか」と衝撃を受け、授業に反映させた。その後、生徒から「紙芝居を見たい」との声が上がり、学校は3年生全体に対象を広げ、来月1日に紙芝居を鑑賞することにした。
前日の会は、機銃掃射の出来事を語り継ぐため2015年から地元小を主体に出前授業を開いている。東三河を除く高校生、中学生の参加はいずれも初めて。
彦坂久伸代表は「探求心と行動力に優れた高校生に圧倒され、元気をもらった。中学生が紙芝居にどう反応するか楽しみだ」と話した。