写真で巡る渥美半島の足跡

㉜「福江町役場の今昔」/文化財的価値の高い昭和初期の建築

2026/06/30

1930年に完成した福江町役場(山田幸宏提供)

 上の写真は、鉄筋コンクリート造り2階建ての福江町役場である。昭和天皇の即位を記念して1928(昭和3)年に計画され、2年後に完成した。55(昭和30)年に福江町、伊良湖岬村、泉村の合併で渥美町が誕生、町役場として83(昭和58)年まで利用された。新庁舎が古田町に完成した後も、町の商工会や土地改良区の事務所として使われた。

 建設以来、東南海地震や三河地震、13号台風、伊勢湾台風にも耐え抜いた強固な建物である。玄関や屋根、軒の造りには当時の設計者のこだわりが見られ、田原市を代表する昭和初期の公共建築として文化財的価値が高いといえる。

 下の写真は現在の福江市民館である。渥美町が2005(平成17)年に田原市に編入され、歴史的建物の保存を優先して再生リニューアルされた。エレベーターや多目的トイレを設置し、多目的ホールを増設して装いを新たにした。

 現代風に開放的に造り直された玄関だが、建設当初の趣をそのまま伝えている。玄関前にある2本のヒマラヤスギは、1930(昭和5)年の竣工(しゅんこう)時に植樹されたもので、上の写真の中にも写っている。

 福江町に住む天野敏規さんは(57)は「かつて港町として栄えた福江のまちの変遷の中で、当時のまちの中心地区にあって、幼少期から親しんできた景観が保存されたことは良かった」と語っている。

福江市民館として再出発(2023年・藤城信幸撮影)

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