〝ミニ村〟唯一の信号撤去へ

豊根村富山・通学路守った役目終える

2026/08/01

撤去が決まった信号機。左奥の山腹に旧富山小中学校が見える(豊根村富山で)

 「日本一のミニ村」と呼ばれた旧富山村(豊根村富山)に、信号機の立つ交差点が1カ所だけある。1981年に設置された押しボタン式の信号で、かつて子どもたちが登下校に使ったが、老朽化のため10月までに撤去されることになった。

 県道1号の大谷下(おおたにした)交差点に立ち、愛知県で最も東に位置する信号だ。2015年に富山小中学校が閉校するまで、児童生徒はここで横断歩道を渡り、山腹にある校舎まで通った。

 登下校の安全確保だけでなく、村から出たとき戸惑わないよう、交通ルールに慣れさせるのに役立った。

 しかし、富山地区で育った最後の子どもが村を離れて2年余りがたった。県警設楽署は信号廃止の理由として、柱の経年劣化と利用者減少を挙げる。

 地区では今年3月、村役場支所も廃止されたばかりだ。

 20年以上前に移住してきて、喫茶店を営みながら2人の子を育てた安井敏博さん(53)は「教育の意味合いがあった信号までなくなれば、地域が子どもを持つのをあきらめたみたいだ」と残念がる。

 安井さんは以前、村外から来るなじみ客に「ボタンを押していって」と声をかけていた時期がある。信号の利用率が上がれば、撤去が先延ばしになるんじゃないかと考えたそうだ。

 ささやかな抵抗は奏功しなかったが「なくなる前に、愛知の一番端にある信号機を見に来てほしい」と語る。せめて地区のにぎわいにつなげたいと、SNSでも情報を発信する。

 大谷下の信号機が撤去されれば、豊根村に残る信号は、豊根小・中学校近くの1カ所のみとなる。

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