この人に聞く 

「断らない病院で、地域を守る」

【第18回】大和俊信・総合青山病院院長

2026/10/05

 豊橋市北部と豊川市南部を支える地域で、独居高齢者や在宅療養中の患者からの救急要請を積極的に受け入れる病院への転換を進めているのが、医療法人宝美会青山病院である。今年6月に院長に就任した大和俊信院長(69)の下、年間500件前後で推移していた救急車の受け入れ件数は、就任からわずか3カ月で倍増の勢いを見せている。

 豊橋市出身。名市大医学部を卒業後、市内の病院や大学での研究を経て、豊川市民病院に外科医として約10年勤務した。その後、医局の人事で三重県の病院に異動し、外科・内科の枠を越えて診療や人工透析にも携わりながら20数年を過ごした。子どもの成長を機に地元へ戻る決意を固め、今年6月、青山病院の院長に就いた。

 大和院長は就任前から、周辺に豊川市民病院や豊橋市民病院といった大規模な急性期病院がある中で、同院が同じ土俵で競うのではなく独自の役割を担う必要があると考えてきた。「隙間を狙うわけではないが、急性期でありながら独自の役割を持った病院を目指すしかない」と話す。重症患者を扱う3次救急は近隣の基幹病院に委ね、青山病院は移動手段のない独居高齢者や、家族の求めに応じた救急要請などを積極的に引き受ける方針に転換した結果、救急車の受け入れは今年、年間1000件規模に達する見通しだ。将来的には、さらに受け入れ件数を伸ばす考えだ。目標の達成に向け、大和院長自身も救急の現場に入り、対応にあたっている。「言い出しっぺがやらないと、誰も動きませんから」と、率先垂範の姿勢を貫く。

 法人内には療養病床や介護医療院、特別養護老人ホーム、訪問看護・介護、健診部門がそろうが、これまでは各部門の連携が十分でなかったという。大和院長はこうした機能を一体的に活用し、在宅療養中の患者を必要な時に受け入れられる体制づくりに力を入れる。在宅療養患者の後方支援病院を目標に、機能の充実を図りながら、内科医師の増員とあわせて実現を模索している段階だ。「困ったらとにかく来てください。うちの手に負えなかったら、次の病院に紹介します」と、地域住民の相談先となる病院を目指す考えを語る。

 就任後は職員の意識改革にも着手した。救急対応や時間外診療を断ることが常態化していた実態を踏まえ、6月1日には全職員に向けて「ワンチーム」を掲げるスローガンを発表した。目標が不明確だった職場に共通の指針を示すことで、職員のモチベーション向上と経営の立て直しを両輪で進める狙いだ。

 診療報酬が据え置かれる中、病院経営を取り巻く環境は全国的に厳しさを増しているが、大和院長は体制づくりに3年、成果が表れるまでに5年を見込む。救急受け入れ件数の拡大や在宅医療の体制強化を軸に経営を立て直し、地域に根差した病院としての評価を高めていく考えだ。
                    ※次回は12日付掲載予定。

2026/10/05 のニュース

有料会員募集

今日の誌面

有料会員募集

リクルーティング

高校生のための東三河企業情報サイト

連載コーナー

ピックアップ

Copyright © TONICHI NEWS. All rights reserved.

PAGE TOP