太平洋戦争にどう突入したか

「伝える側 受け止める側」①/田原の「前日の会」田原南部小で初の〝出前講座〟

2026/10/20

上演された紙芝居『前日物語』。語り手は山田副代表(田原南部小学校で)

 太平洋戦争終戦の前日、今の田原市で起きた「渥美線電車機銃掃射」の記録を語り継ぐ〝出前講座〟が関心を集めている。市内の田原中学校に続き、田原南部小6年生を対象に初開催された。野田小では低学年で初めて行われた。設立10年を経て地元の市民グループ「前日の会」はどんな思いを込めて伝え、子どもたちはどう受け止めたか。連載5回のうち初回は伝える側の「教室・現場編」に焦点を当てる。

関連の出来事短冊に/紙芝居による「血の電車」の証言談

 ■真っ赤な汐川
 「カラスは戦争をやらんのに、なぜ人間は戦争をやるのかなあ」―。9月18日、南部小の出前講座教室編で、おなじみの紙芝居『前日物語』の上演が始まった。1945年8月14日、三河田原駅発の電車がかつての神戸(かんべ)駅付近で米軍機に襲われ、乗客ら31人が死傷した悲劇を再現したドキュメンタリーだ。
 語り手は、元小学校教員の山田政俊副代表。電車への機銃掃射や、血で染まった車内の惨状などを取り上げ、ナレーターのカラスの「カーばあさん」が孫の「クロちゃん」に語った「戦争は勝っても、負けても泣くのはあんたら。人間は命が大事」との「名せりふ」で締めた。

 続いて山田副代表が、明治以降から大戦までの戦争関連の出来事を示した短冊を参加した6年生約30人に手渡し、みんなで学ぶ授業を進めた。「渥美半島にも影響をもたらした大戦に日本はどう突入していったのか」

 真珠湾攻撃で宣戦布告した日本、攻めるアメリカ。戦争末期の東三河では本土決戦に備え、どう迎え撃とうとしたかを説明。その具体例の一つとして本田泰敏副代表が、写真を交えて戦争遺跡の「高松陣地」を紹介した。

 1週間後の25日、教室で学んだことを確認するため、現場でも講座が開かれた。山田副代表らが、田原駅南駐車場から現在の神戸駅などを経て、機銃掃射の現場の慰霊碑前までの約1・2キロを案内し、6年生が見て回った。

 途中、「血の電車」を洗った汐川鉄橋の堤防では山田副代表が、目撃した高齢女性から聞き取り、証言集にまとめた文章を読み上げた。

 ■やっちゃいかん
 担任の河邉奈美教諭は、2年連続で6年生の担任。昨年は沖縄戦で看護要員として動員された「ひめゆり学徒隊」を取り上げ、朗読劇として学習発表会で披露した。今年は大戦が地域に与えた影響を子どもたちに知ってもらうため、前日の会に講座を頼んだ。「自分が住む地域で戦争に巻き込まれた事実があり、子どもたちにその悲惨な出来事と命の大切さに気づいてもらえたら」と話した。

 山田副代表は「戦争だけはやっちゃいかんということが伝わっただろうか」と思い巡らしている。

× × ×

 前日の会は、前身の団体を含め2015年から、地元小学校高学年を中心に出前授業を開いている。幅広い層に広げるため、講座に改めた。

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