スマホカメラで介護者に追随

協調型電動車いす開発/愛知工科大と蒲郡市が連携/「介護士1人に5台」可能に

2024/04/03

手前の車いすが、奥のマーカーを付けた人に追随する。右は人を検知するスマホ画面(阿部研究室提供)

 蒲郡市と地元の愛知工科大学が連携し、介護や福祉分野に研究成果を生かす取り組みを進めている。一昨年度から開発中の「スマートフォン協調型電動車いす」は、身近なスマホカメラとマイコンを搭載することで、車いすが自動で人に付いていく仕組み。介護者の負担軽減が期待され、大学研究室では実用化に向けて改良を重ねている。

 開発に取り組んでいるのは、機械システム工学科・阿部己和准教授の研究室。「ARマーカー」と呼ばれる特定の画像を紙に印刷し、先導する人に貼ると、電動車いすに取り付けられたスマホのカメラがマーカーを検知し、追尾を始める。マーカーが見えなくなるとブレーキがかかり、目の前を人が横切ろうとしても止まる。

 介護現場の人手不足を背景に、1人の介護士が2台の車いすを押すような現状が開発を後押しした。このシステムを使えば、1人の介護士に5台の車いすが付いていくことも可能になるという。

 身近なスマホと、数千円のマイコンで動かせる手頃感にもこだわった。阿部准教授は「介護施設だけでなく、老老介護の負担軽減にも役立つのでは」と話す。

 また、情報メディア学科の神邊篤史助教は授業の一環で、障害者支援施設の自主製品の包装デザインを手掛けた。科学的な分析を元に、学生6人が考えたデザインが採用された。

 神邊助教は「工学系の大学で、福祉分野に取り組んでいることを知ってもらうきっかけになれば」と期待を寄せている。

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