太陽光パネル設置が濃厚に

設楽原決戦場跡の発電計画、事業者と八束穂区が協定合意/新城

2024/04/16

立ち木の手前が太陽光発電の計画地。奥に馬防柵が見える(14日、新城市で)

 新城市の設楽原決戦場跡で持ち上がった太陽光発電計画をめぐり、事業者のエクソル(京都市)と地元の八束穂区が、事業実施の条件をまとめた協定に合意したことが15日、分かった。同社が環境保全などへの配慮を約束し、地域の了解を得た格好だ。反対の声も大きかった土地での太陽光パネル設置だが、実行に移される可能性が濃厚となった。

 関係者らの話を総合すると、設置工事では景観を妨げない色のフェンスを用いる▽草が伸び放題にならぬよう区から連絡があったらすぐ対処する▽災害による停電発生時は住民に電気を提供する―といった条件で、エクソルと区は折り合った。

 将来的に事業を他社へ譲渡する場合には、条件を引き継ぐことも盛り込んだ。

 エクソルとの協議に当たった八束穂区の前区長は「協定があれば、何もないより景観維持、環境保全に役立つ。別の太陽光発電計画が出た時にも参考になる」と語った。

 計画の背景には休耕地を管理できない住民が増えている地域事情があることから、「私たちは計画に賛成も反対も言える立場ではない。地主の思いが第一だ」とも指摘した。

 エクソルは「近く発表する」(広報宣伝企画課)としている。

 パネル設置が計画されているのは、新城市八束穂にある約1700平方㍍の休耕地。同社はこれまで「住民や関係者の意見を十分に考慮して実行・中止を協議したい」と柔軟な姿勢を示してきた。区との合意を受け、今後は農地転用や地権者との土地売買を進めるもようだ。

 この計画に関しては昨年7月、住民団体「設楽原をまもる会」が「史跡として大打撃を受ける」と反対を表明した。要望を受けた下江洋行市長は「決戦場跡の景観は守りたい」と応じていた。

 一方、エクソルは同10月に住民説明会を開催。参加者からは反対意見が出ただけでなく、「高齢化で草刈りや耕作ができなくなる」として、太陽光発電での土地活用に賛成する声も多く上がった。

■長篠・設楽原の戦い
 1575(天正3)年、織田信長と徳川家康の連合軍が大量の鉄砲を用い、武田勝頼軍を打ち破った。現地には当時の「馬防柵」が再現されている。新城市は450年の節目となる来年に向け、歴史観光の促進に力を入れる考えだ。

太陽光パネル設置のイメージ図(エクソルの資料より)

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