間伐を手掛け、草刈りを代行

「お助け隊」と地元住民から感謝/新城市稲木地区の中高年グループ

2024/04/16

間伐前の雑木林

 愛知県や国の事業とは別にして新城市稲木地区の中高年のグループが、地区内の雑木林の間伐作業に取り組み、高齢者が所有する田畑の草刈りなども実費で代行している。いずれも地域住民の要望に応えたものだ。少子高齢化で環境美化に携わる担い手が不足しているだけに、地元住民は「お助け隊」と感謝している。

 ■実働隊約15人

 このグループは、県新城設楽建設事務所から除草の委託事業を受ける「農地水環境稲木保全隊」と農林水産省の支援を得て地域資源の保全管理を推進する「農地水環境稲木」。それぞれ2014年、12年に設立された。代表はどちらも鈴木誠さん(74)。メンバーも同じ。現役を退いた人たちを中心に「実働隊」として約15人がこれらの事業のほかに汗を流す。

 鈴木代表ら8人は1月15日から3日間、稲木地区の野田川に架かる滝沢橋のそばにある雑木林約560平方メートルでナラやコナラなど56本を間伐した。さらにシイタケ用原木、ストーブ用まきに切り、希望する地区の人たちに無償で配った。

 建設事務所が約30年前、野田川を改修した際、自然との共生という考えで木の苗を植え、育って雑木林となった。県の許可を得て間伐作業を進めていた。

 また、休耕田の草刈りのほか、畑と道路の間の落差があるのり面の草刈りの代行、ホームセンターで買ったU字溝を用水路に設置する業務なども行った。

 ■高齢化率上昇

 稲木地区は、昨年4月1日時点で外国人を除き人口が592人。うち65歳以上が211人で高齢化率が35・64%。人口は10年前から105人減ったが、逆に65歳以上が9人増え高齢化率が6・66ポイント上昇した。

 間伐、草刈りなどの依頼主はいずれも地域住民で、高齢者が圧倒的に多い。行政に協力を求めているものの、厳しい財政運営などを理由に後回しになっているのが現状だ。しかも、こうした活動の担い手も少ないのが実情。依頼主の一人は「引き受けてくれるところがなかっただけに、本当に助かった」と喜んでいる。

 稲木保全隊、環境稲木はメンバーが草刈りをした場合、日当を支払う。依頼した田畑の所有者は基本的に実費、資材代を負担する。鈴木代表はメンバーを募集するとともに、「後継者を育て、少しでも地域の活性化につなげていきたい」と話した。

 能登半島地震の被災した人たちを支援するため、雑木林の間伐作業に参加した鈴木代表ら8人が、中日新聞社会事業団に災害義援金として日当の一部計1万円を寄付した。すでに被災地に送られた。

間伐後の雑木林

キーワード

 ■農地水環境稲木保全隊

 新城市の県新城設楽建設事務所と委託契約を結び、主に稲木区内の県道21号と国道151号のり面、野田川ののり面の草刈りを行う団体。県から委託料が支払われる。2023年度の委託料が約230万円。

 ■農地水環境稲木

 農林水産省の補助事業である「多面的機能支払交付金」制度などに基づき、主に稲木区内の休耕田の草刈りや農道、農業用水路の点検、田畑の維持管理など行う団体。5年間の事業計画をつくり、農水省の承認を受けて活動する。県、市町村を経て交付金が支払われる。同様に23年度の交付金が約460万円。

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間伐前の雑木林

間伐後の雑木林

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