30年ぶり「日の出屋」再び

石巻山中腹 名峰復活への〝窓口〟に/石巻山に心寄せるグループ〝愉快な場所〟目指す/催し企画や景観整備など手探りで

2024/12/15

「日の出屋」を運営する石巻山無銭労働組合のメンバーら(豊橋市石巻町で)

 豊橋市を代表する山、石巻山(標高358メートル)の中腹で土産や軽食などを販売していた「日の出屋」が、およそ30年ぶりに復活した。手がけたのは、石巻山に心を寄せるグループ「石巻山無銭労働組合」。日の出屋を窓口に、石巻山での独特なイベント企画や景観整備なども進め、知る人ぞ知る名峰復活に向けた手探りの再出発が始まった。

 「ここは行政に見捨てられた観光地です」。石巻山中腹の駐車場入り口にある日の出屋で出迎えてくれた同組合代表の河辺義明さん(40)は、自虐的に笑う。豊橋市が管理する駐車場の公衆トイレは壊れたまま。眼下に広がる眺望を隠していた木々は、県の許可を得て地元住民の協力でようやく雑木の伐採にこぎつけた。

 昭和の時代には、休憩所や温泉宿などが軒を連ね、豊橋の一大観光地だった石巻山も時代とともに客足は減った。閉業した宿は放置され、廃虚となり、現在、営業している宿は一軒のみ。「廃虚が目立つが、法律の壁や金銭的にも僕たちだけじゃどうしようもない。まずは目に入るところをきれいにして、石巻山を愉快にしていこう」と、1年前、河辺さんの友人の実家だった店舗を譲り受けた。雨漏りする室内に放置された建具や腐敗した畳を処分し、野生生物のふん尿で落ちた天井などをメンバーで補修した。

 日の出屋を運営する石巻山無銭労働組合は、石巻山好きが高じて、5年ほど前に市内から石巻地区に引っ越した河辺さんをはじめ、地元住民や石巻山でイベントを行ってきた東三河の高校生~50歳代の約20人からなる。

 11月3日には「やまの駅 日の出屋」として開店式典を盛大に行った。全盛期のあの頃のような風情と昭和の怪しさを醸し出す店内には、アパレル会社社長でもある河辺さんが手がけた帽子やパーカー、Tシャツなどの衣服、さらにはライター、キーホルダー、ステッカー、昭和土産の定番ペナントなどオリジナル商品が並ぶ。石巻山が写る昔の絵はがきや貴重な資料も展示する。今後、「娯楽提供屋」として軽食の提供やゲーム機も設置する予定だ。

 昨今の登山ブームもあり、石巻山にはトレッキングや夜景を楽しむ人が訪れるようになった。だが、「石巻山を一大観光地にしたいとは思っていない。知っている人は知っている、豊橋のちょっと気になる愉快な場所にしていきたい」と河辺さん。現在は不定期営業で、営業日はインスタグラム(@yamanoekihinodeya)で告知している。元旦と2日は営業する。

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