菟足神社と稲荷山の貝塚について講演/豊川
2025/01/28
貝塚での出土品を写真で紹介する須川さん(こざかい葵風館で)
豊川市は25日、こざかい葵風館内の小坂井生涯学習センターで地域生涯学習講座を開いた。元市職員で、県文化財保護指導委員の須川勝以さんが小坂井地区に残る菟足(うたり)神社と稲荷山の貝塚について講演し、市民ら35人が受講した。
須川さんは、市内5カ所に貝塚遺跡があり、このうち4カ所が小坂井地区に集約していると説明。明治、大正時代の地元の新聞記事や、自ら東京大学に赴いて確認した資料などを引用し、稲荷山貝塚は菟足神社貝塚よりも後に発見されたが、人骨51体が発見されたり、当時では画期的だった出土品の図面が雑誌に掲載されたりしたことで一気に知名度が上がったと語った。
稲荷山貝塚で発掘された縄文時代晩期の土器は、学界では「稲荷山式土器」として広く知られ、人骨は京都大学で抜歯の研究に使用されている。菟足神社貝塚では一部が公有化され一昨年4月から公園となっている。「2つの貝塚は異なる経過をたどったが、研究に尽力した人たちの功績があったから振り返れる。研究にも活用できる。彼らの功績を継承する必要がある」と話した。
こざかい葵風館内には菟足神社貝塚で出土した弥生時代の土器などが展示されており、受講を終えた市民らが見入っていた。