地域の伝統文化への貢献なども評価
2025/02/20
堀江・設計事務所の紙管切断機(同社HPから)
17日に発表された「東三河ものづくり大賞」は、堀江・設計事務所(豊橋市多米東町一)と、Waphyto(ワフィト、同市豊橋市植田町)の2社が受賞。手筒花火を継承していく製品と、東三河産の薬草から有効成分を抽出する独自技術が評価された。
同社では、手筒花火に使う大径平巻き紙管を製造してきた山形県内の企業が事業を撤退したため、豊橋市の花火業者からの依頼を受け、手筒花火専用の紙管を切断する装置を新たに開発した。
装置は、径の異なる4種類の紙管に対応し、容易な操作により短時間で紙管を切断することができる。視認できる透明カバーで覆うことで作業者の安全性も確保。シンプルな機構にすること故障を防ぎ、市販の回転刃物を採用して消耗品費を抑えるなどメンテナンス性も向上させた。100ボルト電源のみで稼働し、キャスターを付けて移動できるよう設置・収納場所にも配慮した。
手筒花火の製造には伝統的に孟宗竹(もうそうちく)が使用されてきたが、近年は適材の入手が困難になってきており、短期間で良質の紙管を供給できることは、東三河の手筒花火の継承と発展につながると期待される。審査委員会からは、優れた技術的視点に加え、地域の伝統文化への貢献も評価され大賞に選ばれた。
同社は、有効成分を損なうことなく植物エキスを抽出する独自技術「飽和水蒸気圧還流式サイクロン抽出法」を開発。東三河で採取される有用植物から抽出したエキスを使用した化粧品やヘルスケア用品などを製造、販売している。
従来の抽出方法では植物細胞が破壊されたり、成分の劣化や変質が起こったりしたが、こうした課題に対し同社ではムサシノ機器(東京都大田区)と共同で独自の抽出技術を開発。エキスを抽出する容器内の水蒸気圧と温度を植物ごとの最適条件で制御することができ、新鮮な色や香り、有効成分など、植物本来の状態を維持した高品質エキスを抽出することができるようになった。
表彰式では、植物療法士でもある森田敦子代表取締役が「中央構造線が特異な土壌を持ち、その上に育つ植物の機能性はバラエティー豊か」と述べ、東三河産の薬草から採取した成分を用いた製品の有用性を説明した。