現在指定の市民館は浸水予想区域内/田原東部コミュニティ協議会が変更申し入れへ
2025/03/11
浸水予想区域内にある田原東部市民館(田原市内で)
たびたびの浸水、近くに川が流れ危険だ―。田原市東部校区の防災対策に取り組む田原東部コミュニティ協議会(冨田昌義会長)は、市が風水害避難所に指定する「田原東部市民館は浸水予想区域内にあり、安全なところに変更を求める」と市防災カレッジで報告した。今後、市に申し入れる考えだ。同じようなところがほかにもあり、市は対応を迫られそうだ。
■ 危険と心配
協議会によると、東部市民館は標高7㍍ほど。両側から台地が迫り、そばを蜆(しじみ)川が流れる。近くの豊島駅付近で川幅が狭くなり、大雨で周辺がたびたび浸水するという。一昨年6月の豪雨では、3時間で147ミリ降り東部小学校とともに周りの道路の冠水で通行止めになったことで孤立し、東部保育園も床上浸水。市のハザートマップで1メートル~3メートルの浸水予想区域に入っている。
市は土砂災害、浸水害、洪水の危険度が高まった場合、東部市民館に避難所を開設する。しかし、こうした状況から避難する地元住民は少なく、事実上避難所の役割を果たしていないのが実情だ。
東部校区は、豊島や御殿山、相川、谷熊、やぐま台の5地区からなり1月末時点で、人口が約4000人。うち75歳以上の後期高齢者が14%と少なくない。しかも、豊橋鉄道渥美線北側から汐川(しおかわ)干潟までは、標高5メートル以下の低地。今年度、市から自主防災推進地区の指定を受け避難所問題などに取り組み減災と防災力強化に向け会合を重ねた。
出席した地元の人たちは東部市民館を取り上げ、「川の横にあるため大変危険と思う」「浸水の危険に遭いやすいので心配だ」と不安を抱いた。東部市民館は豊島集会場(約18メートル)、相川集会所とやぐま台公民館(約15メートル)、御殿山集会所と谷熊集会所(約9メートル)と比べて標高が低く、「近くの東部中学校や豊島集会場が近いので、そちらへ行っても良いか」と変更を望む人もいた。
協議会は校区の防災活動の現状や課題、取り組みをまとめ、2月16日の市防災カレッジで「風水害避難所の東部市民館から、高台の安全な各集会所などへ変更できないか」と市に提言した。
■ 泉校区も心配
東日新聞の取材に対し、市防災対策課の河合欽史課長は「地域としっかり相談して対応を考えたい」と述べた。冨田会長は「不安を感じている地元の人たちの声を反映し、市は安全な場所に避難所を確保してほしい」と話した。
東部校区のほかに、市は泉校区の風水害避難所に泉市民館を指定する。標高2・4メートルと東部市民館より低く、避難所として良いかと心配する地元住民は少なくないという。
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田原市の風水害避難の体制 市は校区(コミュニティ)ごとに20カ所に避難所を指定。災害対策本部が土砂災害、浸水害、洪水の危険度が高まったと判断した場合、開設する。基本的には指定する避難所に避難を呼びかけるが、外へ出ることが危険な時は屋内の安全な場所に避難するよう働きかける。