三遠地方民俗と歴史研究会が発表会
2025/03/11
発表する森田さん(新城文化会館で)
三遠地方民俗と歴史研究会(白井正会長)の研究発表会が8日、新城文化会館であり、豊橋支部会員の森田勝三さんが「豊橋・牟呂の大貝塚群」のテーマで研究の成果を発表した。
森田さんは「貝塚は単なるゴミ捨て場ではなく、貴重なタイムカプセルである」と位置付け、人骨も葬った大地縁端部にある「ムラ貝塚」と海岸に形成される干し貝の加工場跡とされる「ハマ貝塚」の違いを説明した。
テーマの牟呂貝塚は主にハマグリを加工した「ハマ貝塚」で、縄文から近代・現代までかけて形成された。推定範囲は長さが10・9キロ、幅が20~100メートル、厚さが2~7メートル、面積は推定約5万6千平方メートルあり、全国トップクラスだという。
かつての牟呂の人たちには貝塚が遺跡である認識がなく、開墾や区画整理などで破壊され、「市杵嶋神社貝塚(いちきしまじんじゃかいづか)」と「大西さんまい貝塚」などのみ現存している。
また、全国で千葉市や市川市など牟呂貝塚より小さな貝塚が国指定になっていることに触れ、「それらと比較しても牟呂貝塚は大きいので、国や県の指定を受けてもいいのではないか。貝塚が現在一部しか見られないのは残念」と話した。
森田さんは、文化財保存全国協議会常任委員、石巻地区文化財保存会代表、牟呂史研究会代表などを務める。最後に、白井会長が森田さんの発表に感謝し、「地元の遺跡が保存できていないことは残念。貴重な遺跡を残し、多くの人に見ていただけるようにしたい」と述べた。
会は、1995年8月に設立され、研究発表会のほか総会、親睦会、文献出版、会報「さんえん」(年2回)発行などを行っている。