多重・複合化どう対応

平川北大名誉教授 やしの実FM出演/変貌する災害/防災のあり方語る

2025/03/25

「やしの実FM」の番組で巨大地震と変貌する災害、防災のあり方について語る平川名誉教授。手前はパーソナリティーの前川さん(豊橋市内で)

 多重化、複合化する地震災害にどう対応するか―。地震研究に取り組む豊橋市老津町の北海道大学の平川一臣名誉教授は、地元のコミュニティラジオ放送局「やしの実FM」の番組に出演し、巨大地震と変貌する災害、防災のあり方などについて語った。南海トラフ地震などへの備えも呼びかけた。

■時間差
 平川名誉教授は、太平洋プレートが日本列島に沈み込んだところで起きた2011年の東日本大震災に関連し、「こういった特別に大きな地震は1000年に一回ぐらいの割合で定期的に起こっている」と紹介。そのうえで16年の熊本地震などと同じ活断層が引き起こした昨年1月の能登半島地震を取り上げ、「東日本と比べ一回りも二回りも小さい」と言いながらも「災害に関しては何も変わっていない」と述べた。

 震災が注目されるようになったのが、1995年の阪神・淡路大震災以降。能登の場合は10カ月後に豪雨があり山崩れや土石流が起こり、「災害の多重化、複合化が時間差でやってきた」と指摘した。熊本のケースも同様に約2年後に西日本豪雨があり、「ビックリするような山崩れがあった」とし、「このようなことがどこで起きてもおかしくない」。行政の災害対策として「かなり重要なところと考える必要がある」と強調した。

■メッセージ
 では、防災をどう考えるか―。「自分の命は自分で守る」と自助の重要性を訴えたうえで、地元と一緒に作った災害時に役立つ防災マップ、市が製作した「防災コミュニティマップ作成の手引き」の中に載せたわが家の防災マップを紹介。「どちらも良いが、生かされていない」と残念がった。

 津波堆積物が専攻。砂や石などの堆積物は津波で運ばれ地層をつくる。「堆積物は過去から未来へのメッセージ」ととらえる。高さ約25メートルの津波があったと推測できる堆積物は田原市の伊良湖岬灯台付近に残っており、「現場を見てほしい」と促し、「防災の基本的な知識を得ることにつながる」。「具体的には家庭内の(問題箇所をチェックする)防災マップをつくってほしい」と話した。

■物が倒れたら
 平川名誉教授は、内閣府の「南海トラフの巨大地震モデル検討会」委員や国土交通省の「日本海における大規模地震に関する調査検討会」委員を務めた。21日の番組「ここなっつふらいでぇ」の「宮城県閖上(ゆりあげ)・亘理(わたり)・山元から届く~東北の風」のコーナーに出演した。今回で4回目。仙台市出身の前川みどりさんがパーソナリティーを務めた。

 番組で前川さんは「(地震で)家の中の高いところにあるものが倒れたら、玄関までたどりつけないのでは。まずはそこから考えよう」と締めくくった。防災への第一歩と考えたい。

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