アレルギーマーチ予防へ可能性示唆/蒲郡市で実施 乳幼児肌バリア検査実証実験結果/ヘルスケアシステムズ発表 瀧本社長「蒲郡モデル広めたい」
2025/03/28
生後7カ月時点におけるアトピー性皮膚炎発症率の比較(提供)
乳児期の肌の状態を調べる「肌バリア検査」について、蒲郡市で実証実験を行った郵送検査事業の「ヘルスケアシステムズ」(名古屋市)は、結果を発表した。それによると、1カ月健診時に検査を行った乳児は、その後の肌の状態が良好だったことが分かった。同社は「保護者の意識、行動が変容することにより、肌バリア機能の改善、アトピー性皮膚炎の発症抑制につながる可能性が示唆された」と成果を示した。
実証実験は一昨年4月から昨年6月にかけて、蒲郡市や花王(東京都)の協力を得て行われた。
蒲郡市民病院で生まれた赤ちゃんを対象に、生後1カ月時点で、顔の皮脂を専用のシートで拭き取って解析する肌バリア検査を実施。保護者に判定結果を伝え、ケア方法を助言した。6カ月後、検査を受けていない同じ月齢の子と肌の状態を比較した。
その結果、検査を受けた乳児群は、肌バリアのABC3段階評価で、Aの割合が25%から28%に増加。C評価は25%から21%に減った。生後7カ月では、さらにA・B評価が高まった。
実証実験の介入の前後では、肌バリア機能のうち「乾燥を防ぐ力」が改善したことも分かった。また、生後7カ月時点でアトピー性皮膚炎の発症率は9%で、未実施の非介入群よりも8ポイント低かった。
同社によると、外部刺激から肌を守るバリア機能が低いと、アトピー性皮膚炎の発症リスクが高いことが分かっており、食物アレルギーや気管支ぜんそくなどを引き起こす「アレルギーマーチ」の入り口になることも指摘されている。
瀧本陽介社長は「子育てが大変な時期に、アレルギーマーチを予防するための肌ケアは注目されにくかった。今回、重要性を啓発できたことは意義深い。成果を蒲郡モデルとして、子育て支援に取り組むほかの自治体にも広めたい」とコメントを発表した。