新城市の新制度活用し農業活性化へ自ら生産
2025/06/12
朝市で青梅を売る小柳津さん㊧(新城市で)
公務員は原則として副業禁止だが、この制限を緩和する自治体が増えている。記者が今月8日に新城市西入船で開かれた朝市を訪ねたら、同市産業政策課の小柳津駿主任(35)が大粒の青梅を売っているところに出くわした。担い手不足に悩む農業を元気づけようと、市役所の副業許可制度を使って自ら生産に挑戦したそうだ。
梅は新城市の特産物。朝市で売ったのは出荷に向かない規格外の実というが、1袋400円ならお得感がある。子どもたちが競うようにポリ袋へ詰めていた。
小柳津さんは今年、市内の名号地区で梅畑を借り、消毒や草刈りをしてきた。前日の7日には市職員、県職員ら市内外の知り合いを20人以上集め、収穫体験会を催した。
摘み取った約200キロはJAに出荷したり、直売所に並べたり。その残りを無駄にしないよう朝市に持ち込んだ。また体験会では、梅づくりを教えてくれた近隣農家の収穫を手伝った。
「普段はデスクワークが多いので、自然の中で農作物に触れるのは面白い。参加者にも喜んでもらえた」。小柳津さんは、農業を交流イベントに仕立てることに手応えを感じた。
梅の売り上げは、体験会で振る舞ったバーベキューの費用や今後の苗木購入などに充てるつもりだ。「もし副業としてでなく、全てを手弁当でやってしまうと長続きしないのでは」と率直に語る。
地域活性化を目的とした副業は、新城市が昨年10月に導入した「市職員地域貢献活動制度」で可能になった。秘書人事課によると、今年度は小柳津さんを含め3人が許可を取り、休日の仕事に精を出す。
小柳津さんは「役所から飛び出す公務員が増えていくといい。高齢化などで人手が足りなくなっている中、業務外でもまちのために仕事をする必要があると思う」と話している。