都市におけるデジタルサービスの影響分析/豊橋技科大研究チームが調査結果まとめ
2025/06/19
運転免許の有無とネット通販の利用割合(豊橋技科大調べ)
都市におけるデジタルサービスの影響を分析した調査を、豊橋技術科学大学の研究チームがまとめた。テレワークやネット通販などの利用が、住まいの選択や都市構造にどのような変化をもたらすかを、全国6210人への大規模アンケートで検証した
調査では、年齢が1歳上がるごとに都市部への転居可能性が約4・4%下がることが判明。高齢者層ではデジタルサービスの利用が少なく、社会的孤立やサービス格差の拡大が懸念されるという。
自動車保有とデジタルサービスの関係では、ネット通販の利用割合が、車を所有する人は持たない人より9ポイント高いことが分かった。免許保有者が店舗で商品を確認した後、ネットで価格を比較し購入する消費行動が主流になりつつあることがうかがえる。デジタルサービスは、移動を減らすのではなく、自動車利用と補完的に機能する実態が浮き彫りになった。こうした傾向は、都市構造や公共交通の再設計にも影響を及ぼす可能性がある。
一方、SNSなどオンラインでの人間関係を重視する層は、対面での交流が希薄になり、地域の社会的結束や災害対応力に影響を与える恐れもあるという。
研究を主導した博士課程3年のムタハリ・ムスタファさんは「都市はスマートであると同時に包摂的であるべき。デジタルでつながる未来は、すべての人が公平に参加できることが不可欠」と述べた。今後は、デジタルと実空間サービスの最適な統合を目指すモデル開発を進めたいとしている。