古墳群整備基本計画/豊橋市へ早期策定要望
2025/07/08
長坂市長(手前)に要望書を手渡す渡辺委員長ら=豊橋市役所で
国指定史跡「馬越長火塚(まごしながひづか)古墳群」がある豊橋市北部の馬越地区は、地域の歴史文化を生かした活性化に期待を寄せている。近くを通る東名高速道路の豊橋新城スマートインターチェンジ(IC、仮称)の整備計画を好機と捉えている。
6世紀末に造られ愛知県内最大の横穴式石室を持つ全長70㍍の前方後円墳の馬越長火塚古墳と、ともに7世紀初めの円墳の大塚南古墳と口明塚南(くちあけづかみなみ)古墳からなる古墳群は、いずれも当時「穂の国」と呼ばれたこの地方を治めた国造(くにのみやつこ)の墓とされる。2016年3月に国史跡に指定された。
このほかにも馬越地区には多くの古墳や城跡などが残っていて、地域の歴史を語る上で重要な場所と専門家からも認識されている。
こうした背景から、市は18年に策定した古墳群の保存活用に向けた計画で管理の拠点となる施設を地区内に整備する方針を示したが、いまだ実現のめどは立っていない。
馬越地区の近くでは豊橋新城スマートICの工事が行われていて、観光誘客の機運が高まっている。22年には住民が活性化委員会を立ち上げ、会議を重ねて地区のあり方を検討してきた。
委員会での議論を踏まえ、4日に関係者らが市役所を訪れ、長坂尚登市長に要望書を提出した。
この中では、古墳群を核に歴史文化ゾーンを整備するための基本構想をまちづくり指針の第6次総合計画後期計画に位置付け、古墳群の整備基本計画を早期に策定するよう要望。史跡公園やガイダンス施設の整備、市中心部にある文化財センターの移転案に加え、現在でもイベント開催時に足りなくなる駐車場の確保や公共交通機関の乗り入れ協議、住民の利便性向上に向けた道路整備などを求めている。
要望書を受け取った長坂市長は、この場でのコメントを控えた。
提出し終え「このままじゃいけない」と要望団体のひとつ、馬越地区活性化委員会の渡辺儀高委員長は危機感をあらわにした。市には「未来につながるまちづくりをしてほしい」と願った。