能や狂言などの伝統芸能を堪能

「第34回新城薪能」開催/新城能楽社、新城狂言同好会、 東三喜多会の町衆40人余りが演じる

2025/08/24

「経政」で無常の思いを舞う霊(新城文化会館で)

 新城市で290年近く受け継がれてきた能楽を演じる新城薪能(たきぎのう)が17日、新城文化会館で開催された。小ホールを埋めた多くの市民が、新城能楽社、新城狂言同好会、東三喜多会の町衆40人余りが演じる能や狂言などの伝統芸能を堪能した。同市、市教委主催。

 能の「経政(つねまさ)」と狂言の「悪太郎」が披露され、会場から大きな拍手が送られた。

 能「経政」は、平家の武将・平経政の霊を弔う僧の前にその亡霊が現れる物語。筑前国で早世した経政は琵琶の名手で、生前の管弦の技を誇りつつも、非業の死を遂げた無念を訴える。夜が更けると経政の霊は琵琶を奏で、修羅道での戦いの苦しみや無常の思いを語り、やがて消えていく。音楽芸能の美と武士の無常観を重ね、平家物語の世界観を映す一曲。

 狂言の「悪太郎」は、放蕩(ほうとう)者を戯画化し、庶民の酒好きや奔放さを喜劇的に表現した、代表的な滑稽狂言。悪太郎は酒好きで乱暴者。親戚や知人が心配していさめるが耳を貸さず、かえって酒を求めては騒ぎを起こす。寝ている間に、伯父が善人になるように名前を「南無阿弥陀仏」とつけ僧形となって暮らすよう言い聞かせる。起きると、僧が現れ笑いを誘う問答が展開された。乱暴で手に負えないが、どこか憎めない人物像として描かれていて、ユーモラスな姿ややりとりに会場は笑いに包まれた。

 新城薪能は、同館完成の1990年を機に始まった。シテ方、ワキ方、囃子(はやし)方、狂言方すべてが素人というのは、全国200カ所ほどで行われている薪能ではほとんどないといわれる。

狂言で、念仏を唱える僧と悪太郎とのやりとり(同)

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