豊川市消防団第4方面隊御油分団所属・百瀬直紀さん/2023年6月2日 集中豪雨経験/活動に感銘受け入団/父の背中追う?長男も消防士にあこがれ
2025/10/12
昨年の市消防操法大会に出場した百瀬さん㊨(豊川市秘書課提供)
豊川市消防団第4方面隊御油分団に所属する百瀬直紀さん(34)は、一昨年6月の記録的豪雨の経験で消防団活動に感銘を受け、自ら団員になった。団員不足が問題となっている昨今、百瀬さんのような市外からの移住者の入団は、地域にとって頼もしい存在となっている。
岡崎市出身の百瀬さんは、豊川出身の妻愛理さん(34)や子どもらと5年前に豊川市御油町に移住してきた。何気ない日々を送っていたが、転機は2023年6月2日、東三河地方を襲った線状降水帯を伴う集中豪雨だった。
夜勤で昼過ぎに家を出ようとした百瀬さんは自宅前の道路が冠水していることに気づき、身の危険を感じて仕事を休んだ。水位は高まる一方で、住宅地の構造的に山林から流れる水が百瀬さんの自宅前を直撃していたこともあり、不安は募った。そこに、地元の消防団員らが駆け付けた。水が屋内に入らないように玄関前に土のう袋を並べてくれた。
夜遅くに水位が下がり始め、家族や近隣住民らも無事だった。「家は床下浸水し、玄関前は水が膝上の高さまで来て正直焦りましたが、消防団が来てくれて本当に助かりました。もし来ていなかったら、もっとひどいことになっていた」と振り返る。
以前から職場の同僚で御油分団所属の川口祐己さんから誘いを受けていたこともあり、百瀬さんは「自分も地域のために貢献したい」と入団を決意。翌年4月から分団員として活動を始めた。
昨年、今年と出場した市消防操法大会の練習や祭事、町内会の行事などで家庭や仕事との両立は大変だが「新しい出会いやつながりができ、この地域で分からないことも気軽に聞ける。温かく迎えてくれた皆さんのおかげで、すっかり御油に染まっています」と笑顔で話す。
長男壮志君(8)も父の背中を見て、消防士にあこがれを抱いている。