今月も豊橋で死亡事故発生

飲酒して2件のひき逃げ事故・被害者は苦悩を訴える ㊦

2025/11/17

事故現場付近の交差点(豊橋市内で)

 飲酒運転でひき逃げ事故を起こした男の裁判では、被害者の男性が出廷して「私に衝突しなければ、罪もない多くの命を奪ったのではないか」と指摘して事故後の苦悩や家族への思いを語った。今月3日には豊橋市内で酒に酔ったドライバーによる死亡事故が発生しており、豊橋署は飲酒運転の危険性や悪質さを強調している。

 オートバイに乗っていた男性は被告人の前で陳述書を読み上げた。青信号の交差点に入った後の「救急隊員に話しかけられるまでの記憶はない」と語り、病院では「体を少し動かすだけで激痛が走り絶叫の連続だった」と述べた。

 3週間ほど寝たきりの状態で、自力で姿勢を変えることもできない容体が続いた。バイクは前後が引きちぎれて大破した。医師からは「脳や脊髄に損傷がないのは奇跡的」と伝えられたという。現在も歩きづらさや右腕が上がらない症状などがあるため会社を休み、病院へ通う生活を続ける。

 事故後の心境として「何でこんな目に遭わなければいけないのか、と自暴自棄な状況」と振り返った。楽しみにしていた2人の子どもの学校行事などに参加できず、妻は事故後の対応を一手に担って夫を支える生活を続けている。

 そのため被害者でありながら「もう少し遅く出発していれば、と家族に申し訳ないとさえ考える。後遺症が残るのか、仕事のキャリアがどうなるのか不安があり疲弊している」と声を詰まらせた。

 公判での被告人の供述について「賠償は保険会社に就職先は親族任せ、その場しのぎの回答で事故の責任は誰が取るのか」と指弾した。「世のため人のため、家族のために正しく生きている人の邪魔をしないでもらいたい。私のような苦しみを起こさせぬための抑止力としても厳罰に処するべき」と訴えた。

 被告人の母親は「私が被害者ならば顔も見たくないと感じると思う」と述べ、男性に向かって「息子が申し訳ありません。おわび申し上げます」と涙ぐみながら頭を下げた。男は飲酒運転について「車中泊するつもりだったが、女の子を送るために乗った」などと供述。数時間後には会社へ出勤するつもりだった旨も話した。

 ◆飲酒事故が増加
 豊橋署によると、昨年1年間に豊橋市内で飲酒運転に絡む人身事故は3件発生。今年は9月末時点ですでに9件起きている。今月3日には、オートバイの男性をはねて死亡させた軽ワゴン車の運転手を逮捕。呼気から基準値以上のアルコール反応があり、署は過失運転よりも罪の重い「危険運転致死」の容疑で送検した。

 署員は「お酒を飲む際は自動車や自転車で店などに行かないことが重要」と意識を高めるよう呼びかけている。

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