昭和100年写真が語る渥美半島の歩み

⑯一本橋から見た清谷川の今昔/きれいな川、水質悪化を経て改善

2025/11/18

昭和10年頃の清谷川 (鈴木政一撮影)

 上の写真は、田原駅の南に架かっていた一本橋から清谷川上流を撮った昭和10年頃の景観である。

 土手道には小さな男の子が5人。バケツを持っているので魚とりに来たのだろう。中央には衣笠山、集落前の橋は鉄橋である。渥美線は田原駅から西へ2・8キロ先の黒川原駅まで延びていたが、戦局の悪化により1944(昭和19)年に廃線に。線路跡は「電車道」と呼ばれている。

 清谷川はその名の通り、透き通ったきれいな川であった。フナやモロコ、カワブト、ハヨが群れで泳いでいて、子どもたちの格好の遊び場だった。

 戦後は付近の工場や家庭からの排水で水質が悪化し、汚れた川からは子供たちの歓声が消えた。

 下の写真は、一本橋から撮った現在の様子である。清谷川は河川改修で整備され、水質も年々改善されてきた。

 両側は遊歩道、左には川沿いに赤石地区の桜並木が続く。右の青緑色屋根の建物は、親子交流館「すくっと」。2014(平成26)年からは田原駅前の再開発により、原野産業の工場跡地に、交流施設「ララグラン」の施設が整備された。

 渥美半島環境活動協議会によると、生息しているのはニホンウナギ・カワアナゴ・ヌマチチブ・ゴクラクハゼ・スズキ・小アユなど11種の魚類。テナガエビ・ヌマエビ・モクズガニ・コオニヤンマのヤゴなどの水生生物も、岸辺に植物が茂った清谷川に戻ってきたことが確認されたという。

現在の清谷川(今年2月藤城信幸撮影)

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昭和10年頃の清谷川 (鈴木政一撮影)

現在の清谷川(今年2月藤城信幸撮影)

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