景気回復は足踏み

【回顧2025(経済)】物価高・賃上げ経営圧迫 米国関税措置も影響/物語コーポ800店突破 東三河の商議所で役員改選

2025/12/30

豊橋商工会議所第25期役員

 今年も、エネルギー・原材料価格の高止まりや、人手不足と人件費の上昇が、景気回復へ歩みを進める東三河経済の足かせとなった。さらに4月に発表された米国関税措置の影響も重なり、多くの中小企業で業況は足踏みが続いた。

 ◆景気動向
 豊橋商工会議所が実施している景気動向調査では、全産業総合判断DI値は、今年1~3月期以降、マイナス圏で推移。業況を下押しする物価高が続く中、4月に発表されたトランプ関税が地域の経済界にも衝撃を与えた。豊橋信用金庫が取引先企業を対象に実施した調査では、製造業の半数が、米国の関税措置による売り上げへの悪影響が今後出ると予想した。

 一方で、物価高や人手不足に押される形で賃上げの動きも継続した。県が実施した県内企業の春季賃上げ妥結状況調査では、平均妥結額は1万8441円に増え、加重平均で調査を始めた1990年以降の最高額を2年連続で更新した。
 賃上げは国内消費への刺激が期待される半面、中小企業にとっては経営を圧迫する要因になっているとの声も商議所に寄せられている。

 ◆上場企業
 自動車部品メーカーの武蔵精密工業(豊橋市)は、円安の影響もあり米州とアジアでの事業が好調で、3月期は経常増益。今年上半期も売上高は微減ながら経常利益は27%増で着地した。

 外食産業を展開する物語コーポレーション(同)は商業施設などへの出店を増やして全業態の店舗数は800を突破し、6月期決算では増収増益を継続。新たな経営計画を発表し、毎年10%以上の成長を継続し、2030年の連結売上高を25年比約1・8倍の2200億円(25年6月期1239億円)、経常利益率10%(同7・2%)を達成する目標を掲げた。

 ◆商議所役員改選
 東三河の商工会議所では役員の改選期を迎えた。
 第25期となる豊橋商工会議所は、神野吾郎会頭=サーラコーポレーション社長=が4期目の続投となり、大塩啓太郎氏=ユタカコーポレーション社長=が新たな副会頭に就いた。

 豊川商工会議所でも小野喜明会頭=トヨテック会長=が続投。副会頭には久野恒靖氏=新東工業シニアアドバイザー、真田光彦氏=豊川信用金庫理事長、寺部良洋氏=AIHO会長=の3人が新たに就任した。

 蒲郡商工会議所は、小澤素生会頭=ニデック社長=の2期目続投を決めた。

 地域の商工会議所と商工会でつくる東三河広域経済連合会が2月に開いた東三河経済フォーラムでは、「東三河ものづくり大賞」を、堀江・設計事務所(豊橋市)の「手筒花火の紙管を一定の長さで、安全かつスピーディに切断できる紙管切断装置の開発」と、Waphyto(同市)の「独自抽出技術『飽和水蒸気圧還流式サイクロン抽出法』を使った東三河産植物エキスの開発」に贈った。

全業種景況感の推移(豊橋商工会議所調べ)

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